『Memory's Messiah』(ダークファンタジー)
透明なガラスで出来た筒状の機械から咲のクローンが現れた。



新道[昔]『やっと会えたな、咲。』

新道が咲に優しく微笑み掛ける。

咲『えあ…な…た?……あれ?私は確か、死んだはずじゃ…』

咲『あ新田君と上杉君は私達の赤ちゃんは』


新道[昔]『ゴメン、新田と上杉は救えなかった…それと、お腹の子も…本当に済まない…』


新道[昔]『でも、あのミサイルのせいで、上杉と新田、あと少しで君まで失うところだった…咲、帰って来てくれてありがとう。』


咲は自分が生きている事を喜ぶよりも、友人と我が子を亡くした悲しみを抑え切れず涙し、その場で新道に泣き付いた。


咲(うぅ〜…新田君……上杉君……わ、私達の子が……)


咲は大粒の涙を流し続けた…新道は自分に泣き付いた咲をいたわり、咲の頭を撫でながら、強く抱きしめた…


咲は泣き疲れ、眠りに付いた。


新道[昔](咲に、咲が一度死んだ事を話すのは止めよう。もうこれ以上、咲に悲しい思いをしてほしくは無い。)


次の日の夜明けにに目を覚まし、咲は新道に話した。


咲『ねぇ、私は本当に助かったの』


新道[昔]『あぁ勿論さ実際、今生きているじゃないか』


咲『私、もしかして一度死んで、そして貴方に…』


新道[昔]『それは違うよ、咲はずっと意識不明だったんだ、この300年。』


咲『300年?』

新道[昔]『そう、俺はあのミサイルが宇宙船にぶつかった事件のあとすぐに、もう一度、火星に飛び立ち、まだ息の有る内に君をコールドスリープさせたんだ。』


新道『この時の私は、自分の頭をフル回転させながら、咲が納得しそうな嘘を付いた。咲の為に…』


咲『それじゃあ貴方は?』

新道[昔]『お、俺は地球では裏切り者扱いされて居たから、ホトホリが冷めるまで、火星で生活し、7〜8年経って地球に戻って、少数派だけど、俺の肩を持ってくれた連中が居たから、そいつらに、コールドスリープさせて貰ったんだよ。だから咲より少し老けたけどね』


新道[昔]『それより、咲。これからは、ずっと一緒だよ。やっと平和な時代が来たんだ俺達もまたここからスタートを切ろう。』
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