王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
「…言いたくない。
っていうのが正直な所だ。
まだあんたが信用出来るか判断出来てない」
ドルメックの言葉にテイシンは目を見開く。
口の端を吊り上げ、苦笑いを浮かべた。
「うーん、まぁ、そりゃな?
会ったばっかで信用しろってのも無理な話だが、こっちはちゃんと名乗ったんだ。
そっちもキチンと名乗るのが筋だろ?」
そう言って羽ペンの羽の方でドルメックを指す。
言われたことは尤もである。
腹を決めて名乗ることにした。
不審な動きを見せたら、その時に対応すればいい。
一つ息を吐いて、呟く様に告げる。
「俺は、…宝玉の民だ」
どうせ聞かれると思い、リストに載ってなかった理由もかいつまんで説明してやる。
―【宝玉の民】の末路。
―ドルメックの目的。
―人質にされている核石。
説明するにつれ、テイシンの表情は険しくなっていく。
一通り話終えると、テイシンは拳を握り締め俯いて震えていた。
「…?…おい?」
テイシンは勢い良く顔を上げると怒りをあらわにした。
「〜っ気に食わねぇ〜!!
なんてえげつない真似しやがる!
だから、偉そうにふんぞり返ってるヤツ等は嫌いなんだよ!」
ドルメックは驚くと同時に、こんな夜中に騒いで大丈夫なのかと心配になった。
そんなことはお構い無しにテイシンはドルメックの肩を叩き、励ましてくる。
「もう、王族のヤツ等や偉そうな兵士達にはうんざりしてたんだ。
ドルメック、俺はあんたの味方だぜ!
仲間助ける為に頑張れよ!」
そう言ってニッと笑った。
どうやら、王族嫌いな所で共感を持たれたらしい。
信用しても良さそうだ。