王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
「仲間を人質に、俺を誘き出しやがった連中なんて知ったことか!
こんな茶番に付き合ってやってるのは、仲間を取り戻す為だからだ…!」
一気に喋った成為で、息が上がっている。
強く握り締めた拳が熱かった。
「…だからかね?」
「………は?」
不意に溢したベリルの言葉の意味が分からず、間抜けな声を出してしまった。
ベリルはもう一度、今度ははっきりと言葉を紡いできた。
「だから謁見の間で、国王にナイフを投げつけたのかね…?」
ドルメックは口を引き結ぶ。
その質問の意図が、いまいち理解出来なかった。
ベリルは答えが返って来ないと諦めたのか、話を他に振った。
「確かに、国がしたことは許されるものではないかもしれん。しかし、それほどにドラゴンの驚異はすさまじいものと言える」
だから、仲間を人質に取られていても仕方ないのだと言われている気がした。
思わずベルトのナイフに手が掛かる。
「勝手なこと言ってんじゃねぇよ!」
ナイフを引き抜こうと手に力を込めた瞬間。
「ほら」
「え!?」
無造作に差し出された核石に、反射的に手を出していた。
ドルメックの手の中に、エメラルドの宝石が煌めく。
予想外の展開に、暫く身動きが取れなかった。