王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
そんなことを思ってユリエスを見ていると、腰に下がる鍵束が見えた。
(…あれは…あの時の?)
見つけた鍵束を指差し、問い掛ける。
「ユリエス…?
ちょっと聞きたいんだが、そいつはどこで手に入れたんだ?」
盗られるとでも思ったのか、鍵束に手を添え、訝しむ様にセルリアンブルーの瞳でドルメックを睨み付ける。
「あんたに教える必要は無いと思うんだけど?」
「…まぁ、そう言われればそれまでだけどな。
そいつは、帽子を被った糸目の男から買い取った物じゃないか?」
強い警戒心を見せるユリエスに、事も無げに聞いた。
「っ!」
驚いた様に目を見開く。
その反応だけで充分だった。
「何で、そのことを?
トールさんを知ってるのか?!」
「あいつに導かれて、俺は今ここに居るから。
それにそのアイテムは、俺があいつに頼まれて盗ってきた物だったから、繋がりあるのかと思ってな」
過去に一度、情報提供の見返りが金では無く、マジックアイテムの奪取を求められたことがあった。
そのとき盗んだ品が、ユリエスが腰に下げてる鍵だったのだ。
「そうだったんですか。
トールさんには一時期だいぶ世話になったんです。
元気にしてました?」
「あいつはきっと、殺したって死なないぞ」