王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
「おっけぃっ!ディー、ねっ?それなら呼び易い!
っていうワケで、討伐部隊のメンバーはもう皆揃ってるのっ!?」
勢い良く身を乗り出すマルタに、思わず一歩後ずさるドルメック。
「…っ…ああ。
ほぼ揃ったからって今、会食を兼ねた親睦会みたいなのをやってるよ。
お前らも、今行けば交ざれるんじゃないか?」
その言葉に目を輝かせる。
「ぉあっ!マジでっ?
それ聞いたらお腹減ってきたっ。美味しいもの無くなっちゃうかも!二人共、行くよっ!」
それだけ言うと、城を指差す。
口の端から涎が光っているのは、気の成為では無い筈だ。
「みっとも無いわよ?マルタ。落ち着きなさい」
「だって、エナっ!お城でご馳走だよ?!滅多に食べれない物もあるかも♪
珍しいスイーツもあるかもしれないしっ!ねっ!」
最後はドルメックに確認する様にこちらに向く。
会場の様子を思い出し、答える。
「…そうだな。各地の民族料理やら、色々あった筈だ。
甘い物も一杯置いてあった」
「何してるの、二人共。早く行くわよ」
目にも止まらぬ早業でマルタとユリエスの首根っこを掴み、ズルズルと引き摺るエナ。
小さな身体のどこにこんな力があるのか…。
「おぃっ!?いくら何でも失礼だろっ?このまま行くのは!
……あぁ〜、すいません、ドルメックさん!またのち程っ!」