王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
最後の台詞に、眉根を寄せるドルメック。
「…一人になってた?」
ドルメックの様子を見、片腕の男はかいつまんで今までの経緯を話してくれた。
雷電の民の里までの道程――
雷電の民ークラウンーとの出会い――
里の様子――
建ち並ぶ墓石の間――
里が滅びた理由――
無理が祟って倒れ、それが原因でクラウンの到着が遅れたこと――
一通り聞いて思い浮かんだのは、ドルメック自身の姿だった。
あの日の光景。
自分で弔った、肝心な心―核石の抜き盗られたままの…仲間の墓を見上げる幼い自分。
クラウンという人物は、どれだけ永い刻を…そしてこれから先、どれだけの刻を生き続けて……。
その仲間の墓を見上げていかなければいけないのか。
病に倒れた仲間。
誰を憎むことも、誰を恨むことも出来ず……。
唯一人、生き残ってしまった事で自分自身を責める日々。
目眩がした――。
仲間全員を救い出し、心を身体に帰してしまったら……。
(―――…俺も、同じ様に…?)
雷電の民に、自身の行く末を垣間見た気がした。