王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
ドルメックが黙り込んでしまったのを見て、男が心配そうな顔で問い掛けてきた。
「…あの…どうかしましたか?」
「あぁ、いや…何でもない。
あんたはゆっくり休むことだな。
所で、そのクラウンって人は?」
慌てて取り繕い、今この場に居ない雷電の民の事を問う。
会ってみたかった。
何を思い、仲間を弔ったのか。
仲間の墓石を見上げ、何を想って生きてきたのか。
これから先の自身の在り方を、どう考えているのか。
会って、問い掛けて…。
(そうすれば、前に進む強さの意味が分かるだろうか…)
男は苦笑した。
何と伝えようか考えあぐねている様に見える。
「クラウンなら、行商に行きましたよ」
「…行商…?」
男は、自分の首に下がっている細工品を示す。
そこには、紋章のような細工の施された水晶のペンダント。
「本職は細工職人らしくて、折角王都に来たからって早くに街へ向かったよ」
こんな緊急事態に、装飾品を購入したいという者などいないと思うが…。
取り敢えずドルメックは、クラウンの特徴を聞き、町に向かうことにした。