メモリー


あたしはあからさまに唇を尖らかせて、拗ねた顔をしてみる。


すると隼人は


「うそ。俺が早く来たかっただけ。」


とサラッと言った。


――きゅん。


あたしの胸が高まる。


今のは反則だよ。隼人。


不覚にも胸がときめいちゃったじゃん。


どうやら隼人は、あたしより何枚か上手みたいだ。



『ばーか。』


あたしは照れ隠しに憎まれ口を叩いた。


隼人はそんなあたしの心情を悟ってか「ん??」と呟いただけだった。



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