メモリー
教室を出て、一番近い階段を上る。
屋上に続く階段がいつもより長く感じて、もどかしい。
病気の都合で走れないあたし。
走りたい衝動をぐっと抑える。
早く。早く。早く。
なるべく早く屋上に行きたい。
そんなキモチで階段を駆け抜けたら、
屋上への入り口がやっと見えてきた。
あと十段、あと七段。
入り口が近づくごとに、あたしの気持ちは急かされていく。
…やっと着いた。
ふぅ、と長く深呼吸して、あたしは呼吸を整える。
やばい…、ドキドキする。
この先に、隼人たちがいるんだ。