メモリー

『うそだ。うそだ。そんなの信じない!!』


あたしは泣き叫んだ。


まるで手に入らないものがあるとすぐに泣く駄々っ子みたいに。


「笑!!」


お母さんがあたしをなだめる。


それでもあたしは止まんなかった。



『誰か嘘だと言って!!』


自分でもビックリするぐらい大きな声が出た。


一瞬で辺りが静まり返る。



わかってるんだよ。


泣いたってどうにもならないって。



お母さんやお医者さんたちを困らせるだけだって。



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