REVERSI
「どういう、事で」
「ふふ、本当に退屈しませんね。久瀬の周りはいつも賑やかだ。だけど、こんなに焦ったのは本当に久しぶりです」
医院長さんはのんびりとそう言う。
「貴子さんは、僕が引き受けましたから。安心して走ってください。久瀬はまだロビーにいます」
ああ、なんか、よく分からないけど、
「貴子さんにありがとう、と伝えてください」
あたしは頭を下げる。
「ええ、僕もあなたにありがとう、と言わせて下さいね。やっと貴子さんが久瀬には必要ないと理解できましたから」
必然だったのは僕でした、と困ったように笑った医院長さんに、あたしは精一杯笑顔で返した。