先生……
―――――――

放課後になるとあたしは立ち入り禁止の扉を開け、屋上にやってきた。

ちょうど一人になれる場所。

ここにあるのはあたしとあたしを冷やす木枯らしだけだった。

ふと今日一日を思い返してみる。

授業は全く頭に入ってこなかった。

何も考えたくない。

なんかもうどうでもいいやと思ってしまう。

そんなあたしだった。

朝の手紙を思い出し、じわりと涙腺が緩んでいくのを感じた。

何時間居たのだろう。

辺りはもう真っ暗だった。

帰らなきゃいけない。

頭ではわかっているが、心がついていかない。

体はこんなにも心に正直で。

一歩も足は進む事を知らない。

そんな自分に思わず苦笑する。

こんなだからお母さんとうまく行かないのかな。

とか考えて。

携帯で時間を確認すると、7時半を回っていた。
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