君の左手
『ごめん、用事思い出したから帰る。



あの……さ。』



約束するような間じゃなければ、話すのだって2回目。

それでも千彰にまた逢いたいと思うこの感情は…?

久しぶりに男の人に優しくされて舞い上がってんのかな。 なんか苦しい。



「明日の夜8時に駅前大通りに来てよ。」


『…はっ?何』


「8時な。忘れんなよ!」


アユミの返事も聞かないで行っちゃった。

最初からそうだけど、どうしてアイツは勝手なの?





明日の8時なんて…

8時…―










また会えるんだ。
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