僕等がみた空の色
人差し指でドの音の鍵盤を軽く押す。
ポーン……
小さな音だが、しっかりとこの部屋いっぱいに響いた。
目を閉じてしばらく余韻にひたる。
……調律はしてあるみたい。
やっぱりママに気を使わせてるなぁ…。
そんなママは、気になっているだろうけどあたしの意思を尊重するように、声をかけたり部屋に入ってきたりしない。
あの日からそうだった。
あたしに何か言うことに怯えて、自分のせいになることを恐れている。
そんなママをずるいとは思わない。
だって悪いのはあたしだから。
あたしのせいでママも弱虫になってしまった。
昔の、優しくて強くて、そんなママって、どんなママだったっけ?
あたしは、たくさんの人を傷つけてる。
……忘れてない。