僕等がみた空の色
「ねぇ、ママっ、これじゃない!?」
いまだ考え込んでいたようで、あたしがいきなり飛び込んだことに驚いていたが、あたしは構わず楽譜をぐいぐい押し付ける。
驚きながらも楽譜を手に取ってパラパラめくると、あるところでページをとめて、音符を追って鼻歌を歌う。
「そうそう!これこれ。バイオリンソナタよね。誰だったかしら、作曲者は」
ママがすっきりして、表紙に戻って確かめる前に、あたしが先にそれを呟く。
「フランク……」
正しくは『ピアノとヴァイオリンのためのソナタ イ長調』。
ベルギー出身の作曲家・オルガニストのセザール・フランクが1886年に作曲した、フランス系のヴァイオリンソナタの最高傑作と言われる。
「ああ、そうだったわね。あなたたち、難しい難しいって、でもいつもやりたがってたのよねー」
