僕等がみた空の色
「六花……大丈夫?」
ドアごしに気配を感じたと思ったら、ママが部屋をノックする。
雪が降ったから、予想もしていたのかもしれないが、その声音は固く険しかった。
また、あたしが壊れるんじゃないかって、恐れているから。
呼吸がだんだん速くなるのを悟られないように、小さく答える。
「だいじょぶ、だから…」
ちょっと一人にして、と頼むとママは少し躊躇ったけど、何も言わずに階段を下りていった。
「……ッ、はっ…、ぁ…!」
ママが下に下りたのを確認してから、一気に息を吐き出す。
そのまま荒い呼吸を繰り返す。
ひゅー、ひゅーと肺の嫌な音が部屋に響く。
胸元を震える手で掴み、冬なのに滴る汗を拭いもせずに、壁に手をつきつつ、よたよたと歩く。
机の引き出しを開け、そこにある紙袋を必死に掴むと、口元にあて、ゆっくり呼吸を繰り返す。