僕等がみた空の色
結局ひたすら謝罪の言葉を書き連ねたメールを読み返して、送信ボタンを押そうか押すまいか逡巡する。
汐が欲しいのはこんな言葉じゃない。
それは分かってる。
でも、どうしても、汐には寄り掛かれない。
あのとき、一緒にいたから、頼ることはできない。
彼女は知りすぎて、近すぎているから、一緒に泣くことしかできない。
そしてこれ以上重荷を背負わせたくない。
だから、汐じゃダメなんだ。
苦しみを共有しているから、きっと傷の舐めあいにしかならないし、二人ともまた哀しみに暮れるのがオチだ。
そしてきっと汐もそれを分かってる。
誕生日を改めて祝う約束を最後に付け足して送信する。
すぐに汐から返信がきた。
『いいよ。あたしは平気だから。何かあったら言ってね』
汐にしては珍しい短文。
きっとあたしが汐には余計な気遣いをさせたくないと思っていることを分かっていての返信だ。
結局、気を遣わせていることには変わりなくて、どうすればいいんだとまた落胆するのも毎回の話だ。