天使と吸血鬼
夜私は眠れなく、
ホテルの外でぼんやりして、
空を眺めていた。

「おい?」

声が聞こえて振り返ると、
天童先生が傍にやって来た。

「どうした?」

「いいえ、眠れなく。」

「眠れなかったら、
明日の日程に響くぞ?」

「そうかも。」

私は微笑んで先生を見ると、
先生も一緒に微笑んだ。

「辛いのか?」

「分からない。
何故自分がここにいるのか、
意味さえ分からない。」

「生きている意味か。
本当だよな。
俺も本当に生きている価値が、
分からない時がある。

けど、自分を信じて、
生きるしか道はないんだと、
思っているんだ。」

「それしかないですね。」

私は自分に言い聞かせた。
自分を信じて、
天使の持っている水晶を
見つけ出す。
それが私の本来の役目。
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