Devil†Story
ガキィン!
激しい斬激が繰り広げられる。奴は頭に血が昇っているのか、力もスピードも上がっている。毒は回復していたので俺も同じ事が言えたが左半身に受けた傷が多少動きに制限をかけている。それだけではなく貧血で判断力に若干の誤差がある状況。早めに決着つけねぇとな。それに…………。
「何を呆けているんだ!?そんな余裕なんてねぇだろうが!!」
動きとともに口調も荒ぶってきたヤナは投擲用のナイフを思い切り投げつけて突き刺してきた。当たったのは左肩で流石に痛みの感覚はない。
「チッ…また肩か…。イイ趣味だなクソ眼鏡」
「見える弱点をみすみす逃すわけがないだろ?君の痛い所を全て痛めつけてぐちゃぐちゃにしてやるよ!!」
そう言うと奴はナイフを投げつけてくる。先程のような速さと勢いで雨のような投擲が再び始まった。体勢を低くする度に脇腹からの痛みが生じていた。
「本当投げんの好きだな!」
このナイフの雨を攻略する為に敢えて正面突破を試みる。先程は目で追えなかった奴の姿を見ながら動きを予想しそこに突っ込んで切り込みを入れる。先程とほぼ同じ場所を切りつけたが、俺と同様に痛みでは動きは変わらずに脇腹に蹴りを入れてきた。思わず呻き声が上がったが直ぐに再度切り込みを入れ続ける。互いに防御は捨て、攻めに転じており、まさに命のやり取りをしていた。
その時……
ーードクン
「…!?」
視界がモノクロになり、目の離せなかったあの色が色濃く俺の視界を覆った。その僅かな隙をついて奴は背後に回っており、背後から感じた殺気に瞬時に後ろを見ると奴はナイフを振りかざしていた。
「チッ…」
その体制からナイフを受けることは出来ないと判断し、体をずらすと背中に強い衝撃が走った。
「グッ…!」
俺は剣を横に振って咄嗟に距離を取った。なんとか心臓部分を刺されない様に避けた。いくら契約しているとはいえ、心臓を刺されれば無事では済まない。それでも強い衝撃が背中を襲っていた。
「外したか。でも深く刺し込んでやったから動くのが辛くなってきただろ?凄く出血してるしなぁ」
奴の言う通り…貧血はどうにもならない。回復はしているが、出ている量の方が圧倒的に多い。
「さっきからうるせぇ眼鏡だな。黙ってられねぇのかよ」
刺されたナイフを抜いて奴に投げつけるが人差し指と中指で挟むように取られ、そのまま投げ返されて左の額からこめかみにかけて大きく傷をつけた。そこから勢いよく流れるそれから目を守るように左目を瞑ると視界は段々とその色以外を識別出来なくなったかのように周りの色が消えていくのを感じた。その中でも…奴が流している紅い液体が妙に色濃く見えていた。
額からの出血は止まりにくい事もあり、血が流れ出ている感覚が伝っていく。……熱い。刺された背中や額、傷がついたところ全てに熱が帯びていた。視界が暗い事もあり、頭がぼんやりしてきた。
そして、その色しか見えなくなった。
ーードクン
心臓が大きく高鳴る。
ーードクン
視界にある色は“紅”のみ。
ーードクン
その他の色は殆ど識別出来ない。
ーードクン
心臓が高鳴り続けており、ようやくその色が何か理解した。
ーードクン
血……
ーードクン
チ………
その言葉だけが頭にこだまする。
ーードクン
貧血な事だけではなく意識が朦朧とする。
ーードクン
…俺が見たいものは………
その時―――
―血ダ―
……?
誰かの声が頭の中に響いてきた。
激しい斬激が繰り広げられる。奴は頭に血が昇っているのか、力もスピードも上がっている。毒は回復していたので俺も同じ事が言えたが左半身に受けた傷が多少動きに制限をかけている。それだけではなく貧血で判断力に若干の誤差がある状況。早めに決着つけねぇとな。それに…………。
「何を呆けているんだ!?そんな余裕なんてねぇだろうが!!」
動きとともに口調も荒ぶってきたヤナは投擲用のナイフを思い切り投げつけて突き刺してきた。当たったのは左肩で流石に痛みの感覚はない。
「チッ…また肩か…。イイ趣味だなクソ眼鏡」
「見える弱点をみすみす逃すわけがないだろ?君の痛い所を全て痛めつけてぐちゃぐちゃにしてやるよ!!」
そう言うと奴はナイフを投げつけてくる。先程のような速さと勢いで雨のような投擲が再び始まった。体勢を低くする度に脇腹からの痛みが生じていた。
「本当投げんの好きだな!」
このナイフの雨を攻略する為に敢えて正面突破を試みる。先程は目で追えなかった奴の姿を見ながら動きを予想しそこに突っ込んで切り込みを入れる。先程とほぼ同じ場所を切りつけたが、俺と同様に痛みでは動きは変わらずに脇腹に蹴りを入れてきた。思わず呻き声が上がったが直ぐに再度切り込みを入れ続ける。互いに防御は捨て、攻めに転じており、まさに命のやり取りをしていた。
その時……
ーードクン
「…!?」
視界がモノクロになり、目の離せなかったあの色が色濃く俺の視界を覆った。その僅かな隙をついて奴は背後に回っており、背後から感じた殺気に瞬時に後ろを見ると奴はナイフを振りかざしていた。
「チッ…」
その体制からナイフを受けることは出来ないと判断し、体をずらすと背中に強い衝撃が走った。
「グッ…!」
俺は剣を横に振って咄嗟に距離を取った。なんとか心臓部分を刺されない様に避けた。いくら契約しているとはいえ、心臓を刺されれば無事では済まない。それでも強い衝撃が背中を襲っていた。
「外したか。でも深く刺し込んでやったから動くのが辛くなってきただろ?凄く出血してるしなぁ」
奴の言う通り…貧血はどうにもならない。回復はしているが、出ている量の方が圧倒的に多い。
「さっきからうるせぇ眼鏡だな。黙ってられねぇのかよ」
刺されたナイフを抜いて奴に投げつけるが人差し指と中指で挟むように取られ、そのまま投げ返されて左の額からこめかみにかけて大きく傷をつけた。そこから勢いよく流れるそれから目を守るように左目を瞑ると視界は段々とその色以外を識別出来なくなったかのように周りの色が消えていくのを感じた。その中でも…奴が流している紅い液体が妙に色濃く見えていた。
額からの出血は止まりにくい事もあり、血が流れ出ている感覚が伝っていく。……熱い。刺された背中や額、傷がついたところ全てに熱が帯びていた。視界が暗い事もあり、頭がぼんやりしてきた。
そして、その色しか見えなくなった。
ーードクン
心臓が大きく高鳴る。
ーードクン
視界にある色は“紅”のみ。
ーードクン
その他の色は殆ど識別出来ない。
ーードクン
心臓が高鳴り続けており、ようやくその色が何か理解した。
ーードクン
血……
ーードクン
チ………
その言葉だけが頭にこだまする。
ーードクン
貧血な事だけではなく意識が朦朧とする。
ーードクン
…俺が見たいものは………
その時―――
―血ダ―
……?
誰かの声が頭の中に響いてきた。