Devil†Story

クロ「…良い人達だったね」

二人が居なくなった倉庫で、クローディアが静かに呟いた。

ヤ「あぁ。…クローディア」

クロ「うん？」

ヤ「…もう危ない目に合わせないから」

クロ「えっ？」

ヤナの言葉にクローディアが、ヤナを見る。

ヤ「今回…こんな目に遭わせてしまったのは俺のせいだから……。でも二度とこんな目に遭わせない。お前をきちんと守れる様に強くなるから……。だからその………これからも変わらず……俺と一緒に……居てくれるか？」


ヤナは少し頬を赤くしながら、クローディアに言った。クローディアは始め、顔を真っ赤にさせ目を大きくさせていたが、すぐ、その目が潤んだ。

クロ「…うん。もちろんだよ。ありがとう…。ありがとう、ヤナ」

クローディアは目から涙を流しながらヤナに抱き着いた。

ヤナは優しくクローディアの背中を擦った。

ヘ「おーおー。お熱いですねー。俺、邪魔かな？」

ヘルは、からかうように2人にそう言った。

ヤ「なっ、バカ。からかうな、ヘル」

クロ「そっ、そうだよ！そ、それより！一回あっちに帰るんでしょ？帰ったら…傷治すね！」

まだ顔を真っ赤にさせながら、クローディアはヤナから離れた。

ヤ「そうだな。一回…身を隠す。あそこは仲間しか入れないからな。安心だ。ありがとう、クローディア」

クロ「どういたしまして」

ヘ「んじゃっ、行きますか」

クロ「うん」

ヤナが親指の指を噛みきり、その血で魔界へ続く穴を作った。

先にクローディアが中に入る。

ヤナは穴に入る前に、倉庫の窓から外を見た。もう朝方であり、外はほのかにピンク色と水色になっており、そこには朧月が出ていた。

ヤ「……いつか、必ず…返してやる」

ヤナは魔界に入る前に、その朧月に誓った。そして、ヤナも魔界に続く穴に入った。

こうして、ヤナ達は魔界に帰って行った。その3人を照らすのは淡い朝日と朧月だった。