Devil†Story
麗「稀琉?うわっ大丈夫!?」


近くに来ていた麗弥と澪奈が心配しながら、稀琉に話しかける。


澪「大丈夫!?お腹でも打った?」


澪奈はしゃがみ、稀琉の背中を擦った。


ロ「何してんだよ――って稀琉?あらら〜吐いてるし血ぃでてんじゃん」

ロス達も戻って稀琉に話しかけた。



稀「だ…大丈夫…。血は…オレのじゃないし…ちょっと……気持ち悪かった…だけ……」


左手で口元を押さえながら稀琉は言った。


ロ「しゃーないなぁ。肩も痛そうだし俺が支えるよ」


稀「ゴ…ゴメン…」


ロ「良いって。よいしょっと」


ロスが稀琉に肩を貸した。


ロ「麗弥と稀琉も怪我酷いからさっさと戻ろうぜ」


麗「うん。悪い」


ロスの言葉は右から左へ抜けて行く。


アレは……。


あの薔薇は……まさか“あの人”の……?

でも…そんなわけがない……だって…あの人は……オレが………。


麗「――稀琉ー?」


稀「!」


麗弥の言葉で、我に帰る。


稀「あ…何…?」


麗「本当に大丈夫?」


心配そうに麗弥が顔を覗き込む。胸の内を悟られないように目を逸らしながら早口で答える。


稀「だ…大丈夫。ちょっと…ビックリしたのも…あるから。それより…早く行こ…?」


稀琉はその場から逃げるようにロスに支えて貰いないながら歩き出した。


麗「え?あ、あぁ」


麗弥も腑に落ちない様子であったがその後に続く。その時クロムは傍らに落ちていた漆黒の薔薇を拾い上げていた。


ク「…黒薔薇?」


持ち上げるとそこから一滴の紅い雫が滴り落ちた。まるで、これから起こる未来かのように紅い雫と黒の花弁が朝日に当たり光っていた。
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