Devil†Story
―帰宅後―

麗「………」

傷の手当が終わった麗弥は緊張した顔で刹那の机の前に立っていた。理由はどうあれ、麗弥は仲間を裏切るという契約違反をしたのだ。下手したら、処刑だ。

ロ「………」

ク「………」

ロスは机の座り、クロムは壁に寄りかかり腕を組み目を瞑りながら決断を待つ。

澪「………」

稀「………」

澪奈と稀琉は少し後ろで祈る様に刹那の言葉を待った。

刹「………じゃあ、処分を言うね」

麗「…あぁ。どんな、処分も…受ける」

談話室に緊張が走る。

刹「…本日より、竜崎 麗弥は…1ヶ月間の外出禁止の寮内謹慎に、この寮全体の掃除…また、その間は俺の身の回りの世話をして貰うよ」

麗「…えっ?」

思いがけない刹那の言葉に思わず、声が裏返る。

稀「ていうことは…」

刹「全く…今回だけだからね?それに、前に言ったでしょ?今、こっちの従業員を減らすわけにはいかないって。そして、クロムが居なくなったわけでもないし、何より…まぁ、理由が理由だからね。もちろん…みっちりこき使ってあげるから覚悟しなよ?」

笑いながらそう言う刹那。一瞬何を言われてるのか分からずに体が硬直する。正直死を覚悟していた。この処分を言われる前に刹那に「もし俺が処刑されても…姉さんには手を出さないで欲しい。そんなのわがままなの分かってるけど……どうかあの人には幸せになって欲しいんだ…」と頼んでいた。刹那は知り合いに記憶を消すことができる人がいるのを知っていたからだ。そういうことならと記憶を全て消すことを条件にそれを飲んでもらっていたのだ。


あの時の刹那の表情的に処刑されることはほぼ確信に近いと思っていた麗弥は深く息を吐いて思わず机に手をついた。


麗「…ほんまええんか?それで」


刹「もちろん。今更変える気はさらさらないよ」


澪「良かった…!」


刹那の言葉を聞いて澪奈が安心したように笑った。その笑顔を見てチクリと胸が痛む。


麗「姉さん…。ゴメンな。1ヶ月間は行けないけど…無理しないでな?」


心配そう言う麗弥に刹那は「あぁ、そうそう」と思い出したかのように呟いた。


刹「麗弥は外出禁止だけど…お姉さんは違うからね?フフ」


麗「!」


麗弥が刹那を見ると刹那はウィンクした。それは会っても良いということだ。


稀「良かったね麗弥!本当に良かった!」


稀琉が俺の手を握ってきて本当に嬉しそうにしているがあまりのことに声も出ない。本当…刹那は甘過ぎる。


麗「ありがと。刹那」


刹「いいえ〜?1ヶ月は気を遣わずにこき使える人材ができて良かったー」


ニヤリッと黒い笑顔で笑う刹那に「えー!」と麗弥は言った。


澪「ありがとうございます、刹那さん」


澪奈が頭を下げると「良いんですよ」と、今度は営業スマイルをした。

ク「……」

クロムは黙ったまま、部屋から出た。

ロ「…」

その後をロスもついて行った。
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