Devil†Story
―刹那 SIDE―

「もしもし!?もしもし!?」

呼びかけても、電話終了を知らせる無機質な音しか聞こえない。

さっきの稀琉の声…かなり取り乱してた感じだ。

それに、携帯と何か…考えたくはないけど、稀琉の倒れた音がした。

稀琉に何かあったんだ。

――色々とよくないことが。

「ッ…!」

俺は急いで携帯をタッチする。

確か…あの近くでクロム達が任務してた筈だ!

GPS機能の画面を開くと、数Km先にクロムとロスの表示がされている。

麗弥はその更に先に表示されている。

やはり、クロム達の方が近い。

そして案の定、稀琉の表示のところは危険を知らせる警告と名前の所が赤くなり、×がついていた。

まずいな…。

携帯が壊れてると思うから…連れて行かれたりしたらもしかしたら、ロスなら分かるかもしれないけど、特定できないかもしれない。

頼む!終わっててくれよ…!


俺はそう思いながらクロムに電話を掛けた。




――一方、クロムとロスは丁度任務が終わったところだった。

「やーっと、終わったなぁ〜」

複数の死体が転がっている中、ロスが背伸びをしながら、呟いた。

「本当だぜ。アイツら面倒だったし。潜入任務はこれだから好かねぇ」

首を左右に鳴らしながら、クロムは剣を収めた。

「全くだ」

「さて…じゃあ、とっとと帰るか――」

クロムがそう言ったのと同時にコートのポケットに入れていた携帯が鳴った。

「うわ、鳴ってる…!」

ロスは少し後退りをしながら、嫌そうに言った。

新しい携帯は、ロスが嫌がる為、あまり電波が飛ばない様に刹那が改造してくれてたのだがそれでもあまり好かない様だ。

「あぁ。刹那だ。珍しいな。任務終了の報告する前に連絡するなんて」

普段、刹那はどんな任務でも、任務中なら絶対に連絡を寄越さなかった。

俺等の仕事は携帯が鳴った、一瞬の隙でも死を招くそういったものだ。

だからこそ、自分から連絡をしない筈なのだが…


もしかしたら、何かあったのかもな。


俺はそう思いながらも、電話に出た。

「あっ、クロム!?任務終わった!?」

電話に出た瞬間刹那が早口で話してくる。電話越しの刹那の声には焦りが混ざっている。

…やっぱり、なんかあったのか。

「あぁ。丁度、今終わったが…どうした?」

「実は、今さっき稀琉から任務終了の報告が入ったんだけど…雇主に会いたいと言われたと言った後、連絡が途絶えたんだ!」

「!」

稀琉が?

俺は少しだけ驚く。

アイツは普段こそ、あぁだが…仕事はできるし、何よりやられる様なたまじゃない。

それでも、連絡が途絶えたということはただ事じゃないな。

「…近くなのか?」

「うん。1番近くにいるのがクロム達なんだ。今から場所を転送するから、見に行って欲しいんだ!」

またこの間の組織の奴等かもしれない。

そしたら、色々と面倒だ。

「分かった。すぐに向かう」

「頼んだよ!」

「あぁ」

俺が返事をすると、すぐ電話は切れた。

「なんだって?」

「なんか…今から送られてくる場所で稀琉も任務だったんだが、突然連絡が途絶えたんだと」

「マジ?稀琉がやられたってこと?」

「さぁな。だが…もし、この間の組織の奴等だったら面倒だぜ」

「にゃるほど。確かにな――!」

ロスが突然、顔を上げた。

「どうした?」

「この気配…この間、任務がなかった時に感じた気配だ。そしてやっぱり、なんかまた人間じゃないのが混ざってるな」

「やっぱりか…。この間は麗弥だったからな。稀琉の方に行ってもおかしくはない」

前にヤナが狙ってきた時はたまたま麗弥が居た為に麗弥がターゲットになっただけで…最初に戦った時に“帽子の子の方が良かったかな?”と言っていたから知ってるだろう。

今は組織を抜けたヤナだが…あの時はまだ組織に居た。

あの女の命が掛かってたのなら…あっちにこっちの情報がいっててもおかしくはない。

「まぁ、行ってみるしかないね。正直…なーんか、稀琉の気配って分かりづらいからさ」

ロスは肩を回しながら、そう言った。

「はっ?アイツ、人間だろ。…あぁ、人間だからこそ分かりづらいのか?」

「いや、なんかね。人間なんだろうけど…ちょっとあの傷の治りの早さのせいか独特の気配なんだよ。そして、たまに他の気配に紛れちゃうからなぁ。本当、分かりづらいんだ」

「ふーん…」

もしかして…

その時、携帯が鳴った。

「来た」

メール画面を開くと、そこには数Km先に稀琉が居た場所が表記されている。


しかし、名前が赤くなり、×がついている。


通信が途絶えている証だ。

「そう遠くない。面倒になる前に行くぞ」

「了解」

クロムとロスは走り出した。

稀琉がいるだろう、GPSが表示した場所に向かって。

正直面倒だが…仕方がない。さっさと行くか。

クロムはそう思いながら、ロスと目的の場所まで走った。
< 390 / 541 >

この作品をシェア

pagetop