Devil†Story
ークロム ロス sideー


「イッ…イヤッ…」


路地の角に追い詰められて怯える女。


その先にはフードを被った少年2人。


「こっ…来ないでよ…!アタシが何したって言うのよ…!」


そう強気に言うものの、ガタガタと震えてそう言う女は滑稽である。


「いや~、俺達は何もされていないケド…されたってゆー人なら沢山居たよー」


ロスが呑気にそう答えた。


「イヤッ!来ないで!おっ…お金ならあげるから…!」


そう言うとバッグを投げてよこした。


どうやら、ロスの言葉の意図は分からないらしい。


中から出てきたのはブランド物の財布である。


もちろんバッグも有名ブランドの物だ。


今回の依頼は潜入捜査のような面倒なものではない。


恨みによる殺害依頼。


俺が1番好きな依頼だ。


シンプルで分かりやすい。


ただ殺せば良いのだから。


依頼人は多数の女。


理由は簡単なものだった。


この女が男を誘惑し依頼人の女どもから男を奪った。


中には結婚をしていた奴も居たらしい。


男たちはこんなネズミのように怯える女に引っ掛かってありったけの財産をつぎ込み…やがて捨てられたらしい。


その男たちも詐欺だとかつて裏切った女どもと結して依頼をすることとなったようだ。


そんな馬鹿みたいな理由で殺される女。


この女も屑だが…騙される方が馬鹿だ。


本当に…くだらねぇ。


だが、俺は理由はどうでもいい。


ただ…血が見れればそれで十分だ。


そして、この馬鹿な女は俺が金取りだと思ったのか財布を差し出してきた…というわけか。


はっ…。


こんな紙切れなんか大事なんて…くだらなすぎて欠伸が出るな。


「金なんかいらねぇ。欲しいのは…てめぇの命だ」


俺がそう言うか否か…女は先程までの怯えはなくなり、怒りが爆発したようだ。


「何よ!その財布もバッグも…中に入ってる金もやるって言ってんのよ!バッグや財布を売ったら中に入ってる金も合わせて50万にはなるわ!それをやるって言ってんだから、そこをどきなさいよ!」


その発言に俺は呆れる。


先程、ロスの話も聞いてないと思ったが…この女は俺らの話なんか微塵も聞いてはいない。


ただ、自分が助かりたいが為に発言しているだけだ。


くだらねぇ…。


そのキンキン声で騒がれちゃ迷惑だからな…さっさと殺してしまおう。


俺は黙って近付く。


…殺すために。


すると女はヒステリックな声で喚きながら近くにあった木片やガラクタを投げる…が、クロムはいとも簡単に避けていく。


「やめて!来ないで!くんな!そっ、それ以上近付くと警察をーー」


何処かのパーティー帰りだったのかドレスを来着ており、それに着いていたであろう小さなバッグから携帯を取り出そうとした瞬間…俺は瞬時に女の目の前に立ちはだかる。


「ヒッ…!」


ひきつった女の顔を眺めながら、俺は女の首をしめて壁に押し付けた。


「グエッ…」


蛙のような声を出しながら女はバタバタと足を振りながら暴れる。


「…だから、聞こえなかったのか?俺らはてめぇの金なんか興味ねぇんだよ。ただ…てめぇの命が奪えればそれでいいんだ」


「…!や…めろ…!ガキ…のくせに…!」


濃い化粧をしていた女の顔は先程までの整ったものではなく、苦しさからか涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。


それもさることながら…女は絞めている俺の手に爪を立てた。ネイルのついた爪が俺の手首に食い込む。



その滑稽なこと。



俺はニヤリと笑って更に力を込める。


女はまた蛙のような声を出した。


「…どうだ?今まで色々と奪ってきたみたいだが…今度はてめぇの命が奪われる感想は?」


その俺の問いに恨めしそうな顔でキッと睨む。


女もまた爪を立てている手の力を強めた。

俺の手首からも血が流れた。


「…憎いか?はっ…もっと抵抗して見せろよ」


更に力を込めると、女は呼吸が出来ないのか咳き込むと俺の手首に爪を立てていた手をダランと離した。



…もう終わりか。


俺は、そう思うともう片方の手で剣を抜くと女の胸に剣を突き立てた。


「カッ…!」


女はまた醜い声を出した。


「ーーつまんねぇ女」


俺はそう呟くと首を絞めていた手を離し、剣を女から抜いた。


「抵抗すんならもっとしろよ。その方が殺すときに絶望に満ちた顔が見られるからな。だが…そんな根性もなかったみたいだな。抵抗をやめるなら…つまんねぇから殺して終いだ」


まだ少しだけ意識のある女にそう吐き捨てて俺はその場を離れる。


「…まっ、てめぇのそのきたねぇ体液が着かなくて良かったがな」


女の首を絞めていた手を持っていた布で拭いて、それを刹那から貰ったジッポで焼き捨てながら呟いた。


「さて、終わったぜ。さっさと帰って寝るぞ」


頬についた返り血をコートの袖で拭いながらずっと見ていたであろうロスに言った。


返事がすぐにないロスを不審に思い見ると何かを感じ取っているのか東の方面を見ていた。


「…ロス?」


俺の呼び掛けにやっと気付いたのかこちらを見る。


「ん?あぁ、いや…。なんか、2体の魔物の気配ともう1つ…弱々しいが気配を感じたから察知してたんだよ」


「…魔物?」


俺が聞き返すとロスは頷いた。


「まぁ、そろそろ稀琉の兄貴が動くとは思ってたけど…」


「そうだよな。…あぁ、やっと少し分かったぞ」


神経を研ぎ澄ませると確かに普通とは違う殺気が伝わってきた。


「今頃かよ。この気配…今回のターゲットをここに追い詰めた辺りからあったぞ」


「なまってんのかよ」と悪態をつくロスに言い返す。


「ちげーよ。さっきの女殺すのに最初抵抗してきたから…楽しくなっていたぶってたんだよ」


「まぁ、ぶっちゃけ全然手応えなくて残念だったがな」と俺が言うと呆れたように今度はロスが言い返してきた。


「んだよ、スイッチ入ってたのかよ。ったく…回りが見えなくなるほどいたぶるのはやめろよ。てか、最近趣味わりーぞ、この度S」


「別にいいだろ」


そう言う俺にロスは「あー、やだやだ。いたぶるのが趣味なんてよ」と首を左右に振りながら言ったかと思うと、また東の方角を見た。


「どうした?」


「移動してるな。…カフェの方に。しかも…だれか連れてるな。気は弱くて感じ取れねぇが…もしかしたら、誰かやられたかもな」



そう言われてもう一度神経を研ぎ澄ませると確かに動いているように思えた。



「まっ、バレてるのは想定の範囲内だな。急いで戻るぞ。…面倒なことになる前に」


俺の言葉にロスが頷くのを確認すると急いでカフェに向かった。


カフェまで半分まで来たとき、その気配はカフェの前まできて戻って消えた。


どうやら、気配を消せる空間に行ったらしい。


だが、カフェの前まで来たんだ。


何かしていったのは間違いない。


そして、カフェに俺らは着いた。


そこにあったのは足と肩から血を流し倒れていた麗弥だった。


「麗弥」


ロスがいち早く駆け寄る。


起こして意識を確認すると、麗弥はまだ生きていた。


恐らく左足は何かに噛み千切られ、左肩は何かに噛まれた跡はあったが。


スンとロスは匂いを嗅いだ。


「この特有の獣臭…狼族の奴に襲われたんだな。足も綺麗に折られてるとこみると…ドールテイマーもいるな」


「ドールテイマー?」


「その対象の体の一部…髪の毛1本でもあれば身代わり人形で対象自身の人形を作れて操ることができる者の事だ」


「なるほど…。いきなり、あっちの奴等が登場してきたな」


そうなると…ヤナがいた組織のやつらの可能性も出てくる。


「とにかく刹那に報告して速攻で怪我の治療しねぇとな。いくら醜鬼に覚醒したからと言って…この傷はでかすぎる」


「ったく…面倒だな」


ロスが麗弥を抱き抱えるのを確認したあと、俺らはカフェの中に入った。
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