Devil†Story
「…お前目の前で見ても何処に連れてかれたかわからねぇのか?」


稀琉に聞こえないような声でロスに尋ねる。


「んー…なんとなくならわかるけど…。稀琉がいるし…すぐに分かったらオカシイし…。も少し探り入れといた方が良いからな…」


2人が小声で話し合うその後ろをとぼとぼと歩く稀琉。



そして2人が過ぎた曲がり角を稀琉が横切ったときに誰かとすれ違った。


稀琉の横を通った時だった。


「早く琉稀サマの所へ来ないと…彼死んじゃうよ?」



「!」


その言葉に体が硬直する。


「クスクス…琉稀サマの伝言だよ」


そう言って硬直している稀琉の上着のポケットに紙を入れた。


「ここに来てね。必ず1人で…ね」



驚いてその人物の顔を見る稀琉だがホームレス風のその男のことは知らなかった。男はニヤリと笑うとそのまま何事もなかったように前を向いて歩いていった。



その後ろ姿を稀琉は顔面蒼白で見つめていた。


「…稀琉?」


「!」


ロスに呼ばれて前を向く稀琉。



「どした?…あ、やっぱ、肩痛いよな?大丈夫?」


「あっ…う、うん。大丈夫…。何でもないよ」



「ならさっさと来い」


クロムの言葉に頷きながらまた歩き出す稀琉。



その心は真っ黒な渦が渦巻いていた。


「……」


ロスは鋭い目付きで稀琉の後ろで曲がり角に戻っていく男の姿を見ていた。







「………」


曲がり角に消えていった男は数歩歩いてから不意に止まった。そしてすぐにグラリとその体は地面に倒れた。



「……ふー。終了ー♪」


倒れた男を操っていた糸を切りながらミシェルは背伸びをしながら言った。


「これで準備完了ですね!」


ソルトが気絶している麗弥を抱き抱えながら琉稀に言った。


「…そうだね。…くくっ」


手のひらを見ながら琉稀はニヤリと笑った。


やっとこの時がきた…。この時をずっと…12年間も待ち望んでた…。これでやっと復讐ができる…!


「さあ、キル…。あの時のエンディングを築き上げよう」


高い空の雲の間から満月が顔を出す。その満月が見たのは狂気に満ちた笑顔だった。

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