Devil†Story
ークロム・稀琉 sideー
「……」
「…………」
無言で先に進む2人。
「ハァ……」
歩くのが早いクロムに段々ついて行けなくなった稀琉は壁に寄りかかりながら進む。
頭が……ハッキリしない…。
頭を締め付けられる様な感覚に襲われながらも前を進むクロムをちらりと見る。
1つにまとめた後ろ髪が左右に揺れている。
前だけを見て進むクロムは、ロスとはぐれてからもこちらを向こうとしなかった。
それだけ怒らせてしまっているのは分かっている。
クロムはよくも悪くも素直だ。
自分の感情を表に出す。
だから、オレみたいに優柔不断な人を見ると苛々してしまうのだろう。
幼い頃から両親の……というよりも人の顔色ばかり伺って生きてきたのだから癖になってしまって直そうにも直せない。
いや…オレは……嫌われたくなかっただけなんだ。
オレがニコニコして、その人にとってベストな答えを顔や雰囲気、仕草を見て察して答えれば自分はスッキリしなくとも嫌われずにすむと思ってた。
それでは、嫌われることもないが本当に好かれることもないのに。
そんなオレと真逆でクロムは思っていることを口に出してしまう。
悪く言えば空気を読めないというやつだ。
しかも口も下手で乱暴。
彼を理解している人でなければ嫌われてしまう一般的には損な性格。
でも……そんなクロムがオレは羨ましかったのかもしれない。
ストレートに自分の考えを伝えられるクロムが。
オレが後ろに居ない事に気付いたクロムが後ろを振り返った。
「何してる。さっさと行くぞ。……それとも、戻るか?」
立ち止まりその冷たい眼差しをこちらに向ける。
人によっては「そんな言い方ないのではないか?」と思われる言動。
でも、クロムの事を理解していれば立ち止まりこちらに気を向けている彼なりの気遣いだと捉えれる。
頭はまだ重く、意識もハッキリしないがそれでも頷いた。
「…大丈夫だよ」
「ならさっさと来い。時間がないからな」
「うん」
壁から離れ足早にクロムの側へ向かう。
追い付くのを確認した後、少し歩くペースを落としてくれた。
きっとオレなんかよりも…本当は周りを見て気遣いができる人だったのだろう。
でも、何かが……過去にあった出来事がクロムの中からそれを奪い去ってしまっただけで。
それが、完全に消え去る事は決してないからこそ…今の彼の行動の中にもそれが現れてる。
だって、後から……オレがパニックになった時の心情を麗弥に言ってくれたり、麗弥が怪我した時に麗弥に彼なりの方法で強くなれって言っていた事を聞いたから。
その中に……彼の優しさがあったとオレは信じてるから。
ハッキリしない意識の中でそんな事を考える稀琉。
「……扉だ」
ポツリと呟くクロム。
クロムの背中だけを見ていた稀琉も道の先を見た。
重い鉄の頑丈な扉がそこにはあった。
この白い道の終わりを告げる扉だ。
この場所の更に奥に……青鬼の間はある。
そこで…決着をつけるのだ。
しっかりしないと。
先に進むクロムの後を追ってその中へと入った。
そこは、広い場所になっており天井が高い。
稀琉の記憶が正しければそこは聖水で体を清める場所だった筈だ。
清めるといっても湯浴みをするのではなく霧吹きのような物で聖水をかけるといったものだったが。
しんと静まり返るその場所を何歩か進んだ時だった。
「ギャハハハ!」
「!」
その場に似つかわしくない笑い声が響き渡った。
クロムが剣の柄に手を触れるのと同時に上を見た。
「俺様の所に来たのはキルサマと細っこい餓鬼か!!」
ズンッと物音をたてて上から誰かが降りてきた。
「まぁ、いたぶるのは少しでも人数が多い方がいいけどなぁ!」
2mはあろう棘のついた鉄の棒を肩に背負いながら下品な笑みを浮かべるのは、太り気味でいかにもパワータイプといった感じの人物であった。
肩に鎧のような物をつけ、茶色の髪はパーマがかかっている。
目のところに赤いマスクをつけており顔の全貌は把握できない。
しかし、もう秋も深まって来ていると言うのに白の半袖に七分のジーンズをはいている。
絵に描いたようなパワータイプの人物だ。
「ハッ……いかにも雑魚って感じの奴だな」
剣を抜いたクロムが馬鹿にしたように呟いた。
「んだと!?テメェみたいな美形は嫌いだぜ。オレの鉄棒で顔をぐちゃみそにしてやっからなぁ、糞餓鬼。ったく、琉稀サマに聞いた通り躾のなってねぇ餓鬼だ!」
そんな挑発に乗る相手はかなり単純だとみてとれる。
そんな彼にクロムは更に挑発した。
「やってみろよ。デブ」
「なぁにぃぃ!?俺様のこの体はデブじゃねぇぇ!!ぽっちゃりで筋肉質なんだよぉぉ!!ガリガリの餓鬼が!!」
顔を真っ赤にし怒鳴り付ける。
どうやらデブという言葉は彼にとって禁句のようだ。
しかし、そんな安い挑発に乗る所を見ると頭はそんなに良さそうではない。
「それになぁ!!俺様を作ってくれた琉稀サマ失礼だろうがぁ!」
「えっ……?」
怒鳴り付けながら言ったその言葉に真っ先に稀琉は反応した。
「作って……くれた?」
武器をつけた稀琉は彼の方を見た。
その困惑した表情に機嫌が直ったのか、その顔に再び下品な笑みを浮かべた。
「なんだ何も知らねぇのか?キルサマよぉ。そうだぜ?俺様は……」
パチン指を鳴らすと上からロスを襲っていたのと同じ人形が10体以上降ってきた。
マリオットの様に体をカタカタと揺らしながらそれは武器を構えた。
「琉稀サマに作られた……“Doll(ドール)”だ。こいつらもそうだがなぁ」
カタカタと震えるマリオットを指差しながら彼は更に卑しく笑った。
「……」
「…………」
無言で先に進む2人。
「ハァ……」
歩くのが早いクロムに段々ついて行けなくなった稀琉は壁に寄りかかりながら進む。
頭が……ハッキリしない…。
頭を締め付けられる様な感覚に襲われながらも前を進むクロムをちらりと見る。
1つにまとめた後ろ髪が左右に揺れている。
前だけを見て進むクロムは、ロスとはぐれてからもこちらを向こうとしなかった。
それだけ怒らせてしまっているのは分かっている。
クロムはよくも悪くも素直だ。
自分の感情を表に出す。
だから、オレみたいに優柔不断な人を見ると苛々してしまうのだろう。
幼い頃から両親の……というよりも人の顔色ばかり伺って生きてきたのだから癖になってしまって直そうにも直せない。
いや…オレは……嫌われたくなかっただけなんだ。
オレがニコニコして、その人にとってベストな答えを顔や雰囲気、仕草を見て察して答えれば自分はスッキリしなくとも嫌われずにすむと思ってた。
それでは、嫌われることもないが本当に好かれることもないのに。
そんなオレと真逆でクロムは思っていることを口に出してしまう。
悪く言えば空気を読めないというやつだ。
しかも口も下手で乱暴。
彼を理解している人でなければ嫌われてしまう一般的には損な性格。
でも……そんなクロムがオレは羨ましかったのかもしれない。
ストレートに自分の考えを伝えられるクロムが。
オレが後ろに居ない事に気付いたクロムが後ろを振り返った。
「何してる。さっさと行くぞ。……それとも、戻るか?」
立ち止まりその冷たい眼差しをこちらに向ける。
人によっては「そんな言い方ないのではないか?」と思われる言動。
でも、クロムの事を理解していれば立ち止まりこちらに気を向けている彼なりの気遣いだと捉えれる。
頭はまだ重く、意識もハッキリしないがそれでも頷いた。
「…大丈夫だよ」
「ならさっさと来い。時間がないからな」
「うん」
壁から離れ足早にクロムの側へ向かう。
追い付くのを確認した後、少し歩くペースを落としてくれた。
きっとオレなんかよりも…本当は周りを見て気遣いができる人だったのだろう。
でも、何かが……過去にあった出来事がクロムの中からそれを奪い去ってしまっただけで。
それが、完全に消え去る事は決してないからこそ…今の彼の行動の中にもそれが現れてる。
だって、後から……オレがパニックになった時の心情を麗弥に言ってくれたり、麗弥が怪我した時に麗弥に彼なりの方法で強くなれって言っていた事を聞いたから。
その中に……彼の優しさがあったとオレは信じてるから。
ハッキリしない意識の中でそんな事を考える稀琉。
「……扉だ」
ポツリと呟くクロム。
クロムの背中だけを見ていた稀琉も道の先を見た。
重い鉄の頑丈な扉がそこにはあった。
この白い道の終わりを告げる扉だ。
この場所の更に奥に……青鬼の間はある。
そこで…決着をつけるのだ。
しっかりしないと。
先に進むクロムの後を追ってその中へと入った。
そこは、広い場所になっており天井が高い。
稀琉の記憶が正しければそこは聖水で体を清める場所だった筈だ。
清めるといっても湯浴みをするのではなく霧吹きのような物で聖水をかけるといったものだったが。
しんと静まり返るその場所を何歩か進んだ時だった。
「ギャハハハ!」
「!」
その場に似つかわしくない笑い声が響き渡った。
クロムが剣の柄に手を触れるのと同時に上を見た。
「俺様の所に来たのはキルサマと細っこい餓鬼か!!」
ズンッと物音をたてて上から誰かが降りてきた。
「まぁ、いたぶるのは少しでも人数が多い方がいいけどなぁ!」
2mはあろう棘のついた鉄の棒を肩に背負いながら下品な笑みを浮かべるのは、太り気味でいかにもパワータイプといった感じの人物であった。
肩に鎧のような物をつけ、茶色の髪はパーマがかかっている。
目のところに赤いマスクをつけており顔の全貌は把握できない。
しかし、もう秋も深まって来ていると言うのに白の半袖に七分のジーンズをはいている。
絵に描いたようなパワータイプの人物だ。
「ハッ……いかにも雑魚って感じの奴だな」
剣を抜いたクロムが馬鹿にしたように呟いた。
「んだと!?テメェみたいな美形は嫌いだぜ。オレの鉄棒で顔をぐちゃみそにしてやっからなぁ、糞餓鬼。ったく、琉稀サマに聞いた通り躾のなってねぇ餓鬼だ!」
そんな挑発に乗る相手はかなり単純だとみてとれる。
そんな彼にクロムは更に挑発した。
「やってみろよ。デブ」
「なぁにぃぃ!?俺様のこの体はデブじゃねぇぇ!!ぽっちゃりで筋肉質なんだよぉぉ!!ガリガリの餓鬼が!!」
顔を真っ赤にし怒鳴り付ける。
どうやらデブという言葉は彼にとって禁句のようだ。
しかし、そんな安い挑発に乗る所を見ると頭はそんなに良さそうではない。
「それになぁ!!俺様を作ってくれた琉稀サマ失礼だろうがぁ!」
「えっ……?」
怒鳴り付けながら言ったその言葉に真っ先に稀琉は反応した。
「作って……くれた?」
武器をつけた稀琉は彼の方を見た。
その困惑した表情に機嫌が直ったのか、その顔に再び下品な笑みを浮かべた。
「なんだ何も知らねぇのか?キルサマよぉ。そうだぜ?俺様は……」
パチン指を鳴らすと上からロスを襲っていたのと同じ人形が10体以上降ってきた。
マリオットの様に体をカタカタと揺らしながらそれは武器を構えた。
「琉稀サマに作られた……“Doll(ドール)”だ。こいつらもそうだがなぁ」
カタカタと震えるマリオットを指差しながら彼は更に卑しく笑った。