Devil†Story
「クロム……!!」
「ったく……戦場で…呆けやがって……ゲホッ」
目の前で文句を言いつつ血を吐き出すクロムに悲痛な声をあげる。
どうしよう……!
オレは普通の人に比べて丈夫だからこの怪我も大怪我ではあるけど…致命傷ではない。
だけど……クロムは違う……
このままじゃ……!
「ギャハハハ!馬鹿め!そんなほっせぇ体で庇ったところで犬死にじゃねぇかよ!!冷静に見えて馬鹿だったんだなぁ!!」
スロウスは笑いながら罵倒する。
クロムの体の事を知らない稀琉はどうしたらいいかと必死に考える。そんな稀琉にクロムは呟いた。
「グッ……稀琉」
「!?」
振り返るクロムの口の端から血が垂れている。先程よりも青白くなった顔でクロムは言葉を続ける。
「これじゃあ、時間が掛かりそうだ……。ここは俺に任せて先に行ってろ」
顔色、出血量からして決して大丈夫に見えないクロムから出た言葉は信じられない言葉であった。
「そ…そんな事出来ないよ……!そんなに太いものが刺さってて…オレじゃあるまいし大丈夫なわけないでしょ!?」
その鉄棒は少なくとも直径15cm。
普通の人間ならとっくにショック死していても不思議ではない物だ。
いくら普通の人間より怪我に慣れているとはいえ……
その細い体を貫いているにはあまりにも太すぎる棒である。
「かすってるだけだ……完全には刺さってねぇから先にーー「かすっただけだとしても、その血の量だよ!?残してなんていけないよ!」
クロムの言葉に被せる様に稀琉は言葉を発した。
「それに……これはオレの家族が起こした事件だ…。それでクロムが死ぬなんて……耐えられないよ…!」
ブチッ
動こうとしない稀琉についに我慢の限界が超えたクロムが声を荒げた。
「誰に向かって死ぬってほざいてやがる、てめぇ。いいから先に行けって言ってんのがわかんねぇのかよ!」
「で、でも……!」
「ったく、麗弥もてめぇも……めんどくせぇな!てめぇの家族が起こした事件だって言うんならさっさと行けって言ってんだよ!!そのてめぇの家族はこの先に居るんだろ!?それに前にロスに言われたのも覚えてねぇのか!?俺等がやられても誰の責任でもねぇんだよ!つーかこちとらてめぇに守られる程、弱い覚えはねぇんだよ!!」
怒鳴り付ける度に先程よりも激しく出血しているが今まで押さえていた怒りはそう簡単に収まらないらしく、そんな事は気にも止めず更に怒鳴り付ける。
「大体てめぇ…腹くくったんじゃねぇのかよ!?うじうじしやがって!いい加減にしろよ!!兄貴と決着つけんだろ!?麗弥に死なれると嫌なんだろ!?だったらてめぇが今何をすべきなのかわかってんだろうが!!いつまでそうやって項垂れてる気だ!?だから俺は言ったんだ!帰れって!それでも行くって自分で決めたんだろ!?ついでに言えばこの怪我だっててめぇがそうやって呆けてなけりゃしなかった!!もし腹がくくれねぇんなら今すぐ帰れ!!邪魔だ!だがそれはしたくねぇんだろ!?」
「!」
息を荒く吸いながらクロムは稀琉を見据える。
「つーか腹くくりきれてねぇのは…これはしねぇといけねぇっていう目的に根っこがねぇからじゃねぇのか!?これは自分の家族が起こした事。だからしないといけねぇ。嫌だが仕方がねぇ。そうどっかで思ってんじゃねぇのか!?」
「えっ……」
許容量が越えた頭の中にスッとその言葉が響いた。
「そう思ってんなら論外だな!いいか!そんなの誰もてめぇに頼んでねぇんだよ!!そんな空っぽな覚悟でここにきて決着つけたって意味あんのかよ!?それならそんなもん捨ててやめちまえ!!!迷惑だ!所詮てめぇの決心はその程度って事だっただけだ!」
「ちっ、違うよ!」
「だったら!どうしなければいけないのか自分で分かるだろ!!それを踏まえて決めたのなら今度こそ腹くくれよ!!兄貴と決着つけるなら!!麗弥を助けてぇんなら!!行くと決めたならこれ以上うじうじするようなうざってぇことはするな!!!腹くくったんなら…てめぇの家族を止めてこい!!!!分かったか!?ボケが!!」
クロムの言葉がパニックになっていた頭に突き刺さった。大声で怒鳴られたから頭に響いたのも、もちろんある。
でも、何故その言葉がパニックになっていた頭に突き刺さったのか。
それは、クロムの言う通りだからだ。
全て自分で決めた事だった筈だ。
でも、何故か決心が揺らいでしまう。
それは何故か。
先程クロムに言われた通り…何処か嫌だけどやらないといけないことだからと思っていた。
悲鳴をあげ始めている心は関係ない。
だけど仕方がないからやる。
そんな変な使命感で自分の心を無視してやっていたのだ。
オレがしたかったことはなんだったっけ……?
そうだ。
この事件の事を知ることだった筈だ。
あの頃の自分では分からなかった自分の中に眠る鬼の力の事。
何がきっかけでその鬼が目覚めてしまったのか。
どうして両親をその鬼が殺してしまったのか。
また、兄がどうして傷つけられたのか。
この武器が目覚めたのか。
あの夜、自分が寝ている間に両親と兄はあそこで何を話し合ってたのか。
その力の話をすると兄は血相を変えていたのか。
知りたいことは山ほどある。
そして……何より麗弥を助けて……兄さんを止めたい。
オレがしたいこと、やらなければいけないことは……決して項垂れることじゃない。
「クロム…オレ…前に進みたい。今度こそ……しっかり立って……。でも、負傷した君を置いて行くわけには……いかないよ。だって、クロムだって……オレにとって大切な友達だから。前に進むのに犠牲は付き物なのかもしれない。だけど、犠牲にするつもりは微塵もない。それが、オレが歩む茨の道の障害だとしたら諦めたくない。それを踏まえてオレはこの道を歩みたいんだ!」
力強くそう答える稀琉をクロムが振り返ってみる。
真っ直ぐな青空のような瞳がしっかりとクロムを見ている。
……ったく、強情な奴め。
「ったく……戦場で…呆けやがって……ゲホッ」
目の前で文句を言いつつ血を吐き出すクロムに悲痛な声をあげる。
どうしよう……!
オレは普通の人に比べて丈夫だからこの怪我も大怪我ではあるけど…致命傷ではない。
だけど……クロムは違う……
このままじゃ……!
「ギャハハハ!馬鹿め!そんなほっせぇ体で庇ったところで犬死にじゃねぇかよ!!冷静に見えて馬鹿だったんだなぁ!!」
スロウスは笑いながら罵倒する。
クロムの体の事を知らない稀琉はどうしたらいいかと必死に考える。そんな稀琉にクロムは呟いた。
「グッ……稀琉」
「!?」
振り返るクロムの口の端から血が垂れている。先程よりも青白くなった顔でクロムは言葉を続ける。
「これじゃあ、時間が掛かりそうだ……。ここは俺に任せて先に行ってろ」
顔色、出血量からして決して大丈夫に見えないクロムから出た言葉は信じられない言葉であった。
「そ…そんな事出来ないよ……!そんなに太いものが刺さってて…オレじゃあるまいし大丈夫なわけないでしょ!?」
その鉄棒は少なくとも直径15cm。
普通の人間ならとっくにショック死していても不思議ではない物だ。
いくら普通の人間より怪我に慣れているとはいえ……
その細い体を貫いているにはあまりにも太すぎる棒である。
「かすってるだけだ……完全には刺さってねぇから先にーー「かすっただけだとしても、その血の量だよ!?残してなんていけないよ!」
クロムの言葉に被せる様に稀琉は言葉を発した。
「それに……これはオレの家族が起こした事件だ…。それでクロムが死ぬなんて……耐えられないよ…!」
ブチッ
動こうとしない稀琉についに我慢の限界が超えたクロムが声を荒げた。
「誰に向かって死ぬってほざいてやがる、てめぇ。いいから先に行けって言ってんのがわかんねぇのかよ!」
「で、でも……!」
「ったく、麗弥もてめぇも……めんどくせぇな!てめぇの家族が起こした事件だって言うんならさっさと行けって言ってんだよ!!そのてめぇの家族はこの先に居るんだろ!?それに前にロスに言われたのも覚えてねぇのか!?俺等がやられても誰の責任でもねぇんだよ!つーかこちとらてめぇに守られる程、弱い覚えはねぇんだよ!!」
怒鳴り付ける度に先程よりも激しく出血しているが今まで押さえていた怒りはそう簡単に収まらないらしく、そんな事は気にも止めず更に怒鳴り付ける。
「大体てめぇ…腹くくったんじゃねぇのかよ!?うじうじしやがって!いい加減にしろよ!!兄貴と決着つけんだろ!?麗弥に死なれると嫌なんだろ!?だったらてめぇが今何をすべきなのかわかってんだろうが!!いつまでそうやって項垂れてる気だ!?だから俺は言ったんだ!帰れって!それでも行くって自分で決めたんだろ!?ついでに言えばこの怪我だっててめぇがそうやって呆けてなけりゃしなかった!!もし腹がくくれねぇんなら今すぐ帰れ!!邪魔だ!だがそれはしたくねぇんだろ!?」
「!」
息を荒く吸いながらクロムは稀琉を見据える。
「つーか腹くくりきれてねぇのは…これはしねぇといけねぇっていう目的に根っこがねぇからじゃねぇのか!?これは自分の家族が起こした事。だからしないといけねぇ。嫌だが仕方がねぇ。そうどっかで思ってんじゃねぇのか!?」
「えっ……」
許容量が越えた頭の中にスッとその言葉が響いた。
「そう思ってんなら論外だな!いいか!そんなの誰もてめぇに頼んでねぇんだよ!!そんな空っぽな覚悟でここにきて決着つけたって意味あんのかよ!?それならそんなもん捨ててやめちまえ!!!迷惑だ!所詮てめぇの決心はその程度って事だっただけだ!」
「ちっ、違うよ!」
「だったら!どうしなければいけないのか自分で分かるだろ!!それを踏まえて決めたのなら今度こそ腹くくれよ!!兄貴と決着つけるなら!!麗弥を助けてぇんなら!!行くと決めたならこれ以上うじうじするようなうざってぇことはするな!!!腹くくったんなら…てめぇの家族を止めてこい!!!!分かったか!?ボケが!!」
クロムの言葉がパニックになっていた頭に突き刺さった。大声で怒鳴られたから頭に響いたのも、もちろんある。
でも、何故その言葉がパニックになっていた頭に突き刺さったのか。
それは、クロムの言う通りだからだ。
全て自分で決めた事だった筈だ。
でも、何故か決心が揺らいでしまう。
それは何故か。
先程クロムに言われた通り…何処か嫌だけどやらないといけないことだからと思っていた。
悲鳴をあげ始めている心は関係ない。
だけど仕方がないからやる。
そんな変な使命感で自分の心を無視してやっていたのだ。
オレがしたかったことはなんだったっけ……?
そうだ。
この事件の事を知ることだった筈だ。
あの頃の自分では分からなかった自分の中に眠る鬼の力の事。
何がきっかけでその鬼が目覚めてしまったのか。
どうして両親をその鬼が殺してしまったのか。
また、兄がどうして傷つけられたのか。
この武器が目覚めたのか。
あの夜、自分が寝ている間に両親と兄はあそこで何を話し合ってたのか。
その力の話をすると兄は血相を変えていたのか。
知りたいことは山ほどある。
そして……何より麗弥を助けて……兄さんを止めたい。
オレがしたいこと、やらなければいけないことは……決して項垂れることじゃない。
「クロム…オレ…前に進みたい。今度こそ……しっかり立って……。でも、負傷した君を置いて行くわけには……いかないよ。だって、クロムだって……オレにとって大切な友達だから。前に進むのに犠牲は付き物なのかもしれない。だけど、犠牲にするつもりは微塵もない。それが、オレが歩む茨の道の障害だとしたら諦めたくない。それを踏まえてオレはこの道を歩みたいんだ!」
力強くそう答える稀琉をクロムが振り返ってみる。
真っ直ぐな青空のような瞳がしっかりとクロムを見ている。
……ったく、強情な奴め。