Devil†Story
「チ…ガウ……!」
明らかにうろたえている青鬼に稀琉は静かに自分の想いを話し始めた。
「……そうやってずっとオレを守ってくれてたんだね。オレね。ずっと君がオレの中に宿っている理由を知りたかったんだ。だからお願い。本当の事を教えてよ」
「………!」
真剣な稀琉の言葉にしばらくの間、青鬼は黙っていたがやがてため息をついた。
「……ヤハリ貴方ニハ嘘ハ…ツケマセンネ。何故分カッタノデス…?」
掠れるような声でそう尋ねた。
「…君が本当に怒ってたら…オレに対して敬意があるような貴殿なんて言わないでしょ?きっと貴様かな?いや、言おうとしたと思うけど言えなかったんだよね?だからき…って一度言葉が詰まったんだ」
「それに皆からオレに憑依してた時の様子も聞いたからね」と優しく微笑みながら答えた。
「……ナルホド。俺モ…抜ケテイル」
またしばらくの沈黙が続いた。
やがて何かを決心したように息を大きく吐きながら稀琉の問いに答え始めた。
「……俺ハ…ズット青鬼院家ノ運命ヲ見テキマシタ。何世代モ……ソノ中デ…コノヨウニ深ク取リツク事ハ何度モアリマシタガ…。貴方ガ1番優シクテ…綺麗ダッタ」
「……」
「俺達…外二出タ鬼ハ……本当二気マグレデ人間ト契約致シマシタ。シカシ時代ガ変ワリヤガテ衰退シテイッタ。俺ト同ジヨウニ残ッテイル鬼ハ…モウ殆ド居ナイデショウ。何故俺ガ残ッタカハ…今ナラ分カル。青鬼院家ノ人間ハ…人間ノ中デモ綺麗ダッタカラデス。ソンナ綺麗ナ一族ノ中デ貴方ノ両親デアル鈴ト新ガ俺ハ気二入ッテマシタ。ソノ2人カラ生マレタノガ貴方ダッタ。ソンナ貴方ガトテモ…美シカッタ。初メテ…護リタイト思イマシタ」
相変わらずこちらは見ずに青鬼は丁寧に言葉を紡いでいた。雰囲気でも分かるほど温かい感情がそこにはあった。
「シカシ…」
先程とは違いギュッと拳を強く握りしめて悲しく続きの言葉を紡ぎ始めた。
「俺ハ鬼デス。護ルヨリモ…滅スル事シカ知ラナカッタ。ソノ結果ガ……モウオ分カリデスネ?結局俺ハ…貴方ヲ傷ツケル事シカ出来ナカッタ」
「……!」
強く握りしめている拳が震えている。余程辛かったのであろう。歯ぎしりする音が稀琉の耳にも届いた。
「シカシ…安心シテクダサイ。俺ハモウ消エマスカラ」
「え…?」
驚く稀琉に青鬼は悲しそうにしていた。
「先程モ言イマシタガ…外二出タ俺達鬼ハ弱体化シテマス。デスカラコレヲ機二…地獄二戻ロウト思イマス。俺ガ消エレバ…貴方ハタダノ人間二ナリマス。貴方ガ望マレテイタ…普通ノ人間二。デスカラ貴方ハ貴方ラシク生キテ欲シイデス。今マデゴ迷惑ヲオ掛ケ致シマシタ」
後ろ向きだが寂しそうに微笑んでいるであろう青鬼に稀琉は息を吐き尋ねた。
「…どうして?」
「エ…?」
驚く青鬼に稀琉は言葉を続ける。
「そんなの駄目だよ。消えることなんてない。今日オレは君と話が出来て…自分がいかに馬鹿だったか分かったよ」
息を飲む青鬼。しかし首を僅かに左右に振る。
「…駄目デスヨ。俺ハ…貴方ヲ傷ツケル事シカ出来ナイ…!ソンナ俺二貴方ト一緒二イル権利ナンテナイ。…俺ハ貴方ノ幸セヲ切二願ッテイマス。ダカラ俺ノ事ハ忘レテ…今度コソ幸セニナッテイタダキタイ」
僅かに声が震えている。そんな青鬼の様子に稀琉はキュッと胸が痛くなった。
こんなにも…苦しめてたんだ。
そしてそんなバカなオレのことをまだ大切にしてくれるんだ…。
手をぎゅっと握りしめて深呼吸をして稀琉は自分の想いを伝える。
「……たしかにオレはこの12年間辛かったよ。兄さんの命を奪ってしまったことも、兄をあんな風にしてしまったことも…オレが継承者だったことも……オレは普通の人間になりたかった。ずっとね」
「……」
「でもね、それは知らなかったオレ。いや知ろうとしなかったオレ。今は…恥ずかしいよ。君のことに気付かなかったことに。話したら本当に鬼?ってくらい優しい人だったから。だからさ…消えないでよ。オレは弱いからさ。またいつ壊れかけるか分からないし…君が守ってくれないとオレすぐ壊れちゃうよ。それにオレもよく間違えて友達に怒られるんだ〜。間違えることくらい誰にもあると思うよ。オレ達はきっと君とオレで……2人で一人前なんだよ」
あははと本心から笑った稀琉は自分の想いを伝えた。
「……!!!」
その無邪気さに、その優しさに青鬼は少し目を大きくさせた。
そして……
「クッ……本当ニ…貴方ハ……優シ過ギル…!!」
両手で目を覆った。
ーーピチャン
透明の雫が両手の間から流れ落ちていった。
明らかにうろたえている青鬼に稀琉は静かに自分の想いを話し始めた。
「……そうやってずっとオレを守ってくれてたんだね。オレね。ずっと君がオレの中に宿っている理由を知りたかったんだ。だからお願い。本当の事を教えてよ」
「………!」
真剣な稀琉の言葉にしばらくの間、青鬼は黙っていたがやがてため息をついた。
「……ヤハリ貴方ニハ嘘ハ…ツケマセンネ。何故分カッタノデス…?」
掠れるような声でそう尋ねた。
「…君が本当に怒ってたら…オレに対して敬意があるような貴殿なんて言わないでしょ?きっと貴様かな?いや、言おうとしたと思うけど言えなかったんだよね?だからき…って一度言葉が詰まったんだ」
「それに皆からオレに憑依してた時の様子も聞いたからね」と優しく微笑みながら答えた。
「……ナルホド。俺モ…抜ケテイル」
またしばらくの沈黙が続いた。
やがて何かを決心したように息を大きく吐きながら稀琉の問いに答え始めた。
「……俺ハ…ズット青鬼院家ノ運命ヲ見テキマシタ。何世代モ……ソノ中デ…コノヨウニ深ク取リツク事ハ何度モアリマシタガ…。貴方ガ1番優シクテ…綺麗ダッタ」
「……」
「俺達…外二出タ鬼ハ……本当二気マグレデ人間ト契約致シマシタ。シカシ時代ガ変ワリヤガテ衰退シテイッタ。俺ト同ジヨウニ残ッテイル鬼ハ…モウ殆ド居ナイデショウ。何故俺ガ残ッタカハ…今ナラ分カル。青鬼院家ノ人間ハ…人間ノ中デモ綺麗ダッタカラデス。ソンナ綺麗ナ一族ノ中デ貴方ノ両親デアル鈴ト新ガ俺ハ気二入ッテマシタ。ソノ2人カラ生マレタノガ貴方ダッタ。ソンナ貴方ガトテモ…美シカッタ。初メテ…護リタイト思イマシタ」
相変わらずこちらは見ずに青鬼は丁寧に言葉を紡いでいた。雰囲気でも分かるほど温かい感情がそこにはあった。
「シカシ…」
先程とは違いギュッと拳を強く握りしめて悲しく続きの言葉を紡ぎ始めた。
「俺ハ鬼デス。護ルヨリモ…滅スル事シカ知ラナカッタ。ソノ結果ガ……モウオ分カリデスネ?結局俺ハ…貴方ヲ傷ツケル事シカ出来ナカッタ」
「……!」
強く握りしめている拳が震えている。余程辛かったのであろう。歯ぎしりする音が稀琉の耳にも届いた。
「シカシ…安心シテクダサイ。俺ハモウ消エマスカラ」
「え…?」
驚く稀琉に青鬼は悲しそうにしていた。
「先程モ言イマシタガ…外二出タ俺達鬼ハ弱体化シテマス。デスカラコレヲ機二…地獄二戻ロウト思イマス。俺ガ消エレバ…貴方ハタダノ人間二ナリマス。貴方ガ望マレテイタ…普通ノ人間二。デスカラ貴方ハ貴方ラシク生キテ欲シイデス。今マデゴ迷惑ヲオ掛ケ致シマシタ」
後ろ向きだが寂しそうに微笑んでいるであろう青鬼に稀琉は息を吐き尋ねた。
「…どうして?」
「エ…?」
驚く青鬼に稀琉は言葉を続ける。
「そんなの駄目だよ。消えることなんてない。今日オレは君と話が出来て…自分がいかに馬鹿だったか分かったよ」
息を飲む青鬼。しかし首を僅かに左右に振る。
「…駄目デスヨ。俺ハ…貴方ヲ傷ツケル事シカ出来ナイ…!ソンナ俺二貴方ト一緒二イル権利ナンテナイ。…俺ハ貴方ノ幸セヲ切二願ッテイマス。ダカラ俺ノ事ハ忘レテ…今度コソ幸セニナッテイタダキタイ」
僅かに声が震えている。そんな青鬼の様子に稀琉はキュッと胸が痛くなった。
こんなにも…苦しめてたんだ。
そしてそんなバカなオレのことをまだ大切にしてくれるんだ…。
手をぎゅっと握りしめて深呼吸をして稀琉は自分の想いを伝える。
「……たしかにオレはこの12年間辛かったよ。兄さんの命を奪ってしまったことも、兄をあんな風にしてしまったことも…オレが継承者だったことも……オレは普通の人間になりたかった。ずっとね」
「……」
「でもね、それは知らなかったオレ。いや知ろうとしなかったオレ。今は…恥ずかしいよ。君のことに気付かなかったことに。話したら本当に鬼?ってくらい優しい人だったから。だからさ…消えないでよ。オレは弱いからさ。またいつ壊れかけるか分からないし…君が守ってくれないとオレすぐ壊れちゃうよ。それにオレもよく間違えて友達に怒られるんだ〜。間違えることくらい誰にもあると思うよ。オレ達はきっと君とオレで……2人で一人前なんだよ」
あははと本心から笑った稀琉は自分の想いを伝えた。
「……!!!」
その無邪気さに、その優しさに青鬼は少し目を大きくさせた。
そして……
「クッ……本当ニ…貴方ハ……優シ過ギル…!!」
両手で目を覆った。
ーーピチャン
透明の雫が両手の間から流れ落ちていった。