Devil†Story
「アハハ!」
ロスは暗くなった道の中、腹を抱えながら笑っていた。先程の行動の意味を聞いて刹那同様笑っていたのだ。
「笑い事じゃねぇっての。稀琉の奴…」
「流石稀琉だな!あっ…あんな激怒してるお前にそんな提案するなんて…くっ…ダハハハッ!」
堪えきれず漏れ出す笑いに触発されて再度腹を抱えて上半身を丸めて笑い出す。そんなロスを睨みつける。
「…俺が腹立ててんのを、分かってて挑発してんじゃねぇよ。クソが」
「仕方ねぇだろ?あぁでも言わねぇと刹那は引く気なかっただろうし。寧ろ茶々入れた俺に感謝してほしいくらいだね」
フフンと得意げな顔で言ってきたロスに「死ねよ」と突き放すように返した。
「ひどっ!それにしてもケーキねぇ…。お前甘いもん好きじゃん。必要ないのに食うくらいにはさ。そんな好きなら作っても良かったんじゃねぇの」
ロスの言う通り、悪魔と契約した者は食事の必要はなかった。そうはいっても大体の契約者は娯楽として食事をとるのだが普段、普通の食事は一切口にしていなかった。そんなクロムが唯一口にするのが甘いものであった。飲み物も同様で先程の紅茶の様に砂糖を入れていた。甘さ以外の味はまるで受け付けないと感じる程重度の甘党であった。
「別に。疲れた時に必要なもんだから食ってるだけだ。料理なんて誰がするかよ」
「まぁ…お前がバンダナしてエプロンなんかしてた日には……女に間違われるもんな」
ロスがまだニヤニヤしながら言った。どうやら今日は挑発する日らしく頭の後ろで手を組み鼻歌を歌いながら大股で歩き出した。
「…今日はとことん俺に喧嘩売る日だな。髪がなげぇぐらいだろうが」
「いやー?顔のパーツや体つきもーー「マジでいっぺん死ねば?」
ロスの言葉は被せながら再び額に青筋を浮かべながら脛に蹴りを入れた。
「あだ!?ちょっ!脛は無しだろ!」
すっかり油断しており見事に脛を戦闘用に丈夫に作られているブーツで蹴られたロスは痛みに悶える。悪魔も脛を蹴られるのは痛いようだ。しかし今度はクロムがポケットに手を入れながら横を向いて澄ましている。
「うるせぇな。そのよく回る馬鹿舌のせいだろ。だる絡みしてきやがって」
「いててて…あーくそ!図星だからって蹴るなっつうの!」
「…悪魔は学ばねぇのな。もういっぺん蹴られたいか?」
静かな住宅街で暫くの間、2人は口喧嘩をしていた。互いに小突きになってきた頃、目的地付近に着いた為一時休戦となる。
「にしても…あのバカ何処まで行きやがったんだ」
首の骨をボキッと鳴らし、辺りを見渡しながら面倒くさそうに呟いた。
「いつのも場所ってここらへんだよな?」
ここはBCから少し歩いた河原が近くにある大きな自然公園だ。麗弥は何故かは分からないがよくここに来ていた。朝に稀琉が言っていたあの場所はここの事を指していた。
「知るか」
ロスの問いに相変わらずの仏頂面で言う。なんだかんだ自然にここに来れるくらいには麗弥の行きつけであるのは知っている筈なのだが。
「広いしなー。いつもどの辺にいるんだろ」
「知らん。俺はここに居るから見てこいよ」
「ハァ?お前なー…――!」
呆れ顔で抗議しようとしたロスの表情が急に真面目になる。
「どうした?」
クロムの問いには答えずに代わりに親指で道を刺して橋の下に行った。黙ってついて来いというメッセージに気付いたクロムが後に続く。橋の下には、真新しい血痕があった。致死量に至る程の血痕ではないが、血痕はまだ上から垂れていた。ゆっくりと血が垂れている先を目で追う。
「…ビンゴじゃねぇか。あのバカ…巻き込まれてねぇだろうな」
その先にあった"モノ"を見たクロムが呟いた。橋の天井には、血塗れになった恐らくもう死んでるであろう人間が張り付けられていた。
ロスは暗くなった道の中、腹を抱えながら笑っていた。先程の行動の意味を聞いて刹那同様笑っていたのだ。
「笑い事じゃねぇっての。稀琉の奴…」
「流石稀琉だな!あっ…あんな激怒してるお前にそんな提案するなんて…くっ…ダハハハッ!」
堪えきれず漏れ出す笑いに触発されて再度腹を抱えて上半身を丸めて笑い出す。そんなロスを睨みつける。
「…俺が腹立ててんのを、分かってて挑発してんじゃねぇよ。クソが」
「仕方ねぇだろ?あぁでも言わねぇと刹那は引く気なかっただろうし。寧ろ茶々入れた俺に感謝してほしいくらいだね」
フフンと得意げな顔で言ってきたロスに「死ねよ」と突き放すように返した。
「ひどっ!それにしてもケーキねぇ…。お前甘いもん好きじゃん。必要ないのに食うくらいにはさ。そんな好きなら作っても良かったんじゃねぇの」
ロスの言う通り、悪魔と契約した者は食事の必要はなかった。そうはいっても大体の契約者は娯楽として食事をとるのだが普段、普通の食事は一切口にしていなかった。そんなクロムが唯一口にするのが甘いものであった。飲み物も同様で先程の紅茶の様に砂糖を入れていた。甘さ以外の味はまるで受け付けないと感じる程重度の甘党であった。
「別に。疲れた時に必要なもんだから食ってるだけだ。料理なんて誰がするかよ」
「まぁ…お前がバンダナしてエプロンなんかしてた日には……女に間違われるもんな」
ロスがまだニヤニヤしながら言った。どうやら今日は挑発する日らしく頭の後ろで手を組み鼻歌を歌いながら大股で歩き出した。
「…今日はとことん俺に喧嘩売る日だな。髪がなげぇぐらいだろうが」
「いやー?顔のパーツや体つきもーー「マジでいっぺん死ねば?」
ロスの言葉は被せながら再び額に青筋を浮かべながら脛に蹴りを入れた。
「あだ!?ちょっ!脛は無しだろ!」
すっかり油断しており見事に脛を戦闘用に丈夫に作られているブーツで蹴られたロスは痛みに悶える。悪魔も脛を蹴られるのは痛いようだ。しかし今度はクロムがポケットに手を入れながら横を向いて澄ましている。
「うるせぇな。そのよく回る馬鹿舌のせいだろ。だる絡みしてきやがって」
「いててて…あーくそ!図星だからって蹴るなっつうの!」
「…悪魔は学ばねぇのな。もういっぺん蹴られたいか?」
静かな住宅街で暫くの間、2人は口喧嘩をしていた。互いに小突きになってきた頃、目的地付近に着いた為一時休戦となる。
「にしても…あのバカ何処まで行きやがったんだ」
首の骨をボキッと鳴らし、辺りを見渡しながら面倒くさそうに呟いた。
「いつのも場所ってここらへんだよな?」
ここはBCから少し歩いた河原が近くにある大きな自然公園だ。麗弥は何故かは分からないがよくここに来ていた。朝に稀琉が言っていたあの場所はここの事を指していた。
「知るか」
ロスの問いに相変わらずの仏頂面で言う。なんだかんだ自然にここに来れるくらいには麗弥の行きつけであるのは知っている筈なのだが。
「広いしなー。いつもどの辺にいるんだろ」
「知らん。俺はここに居るから見てこいよ」
「ハァ?お前なー…――!」
呆れ顔で抗議しようとしたロスの表情が急に真面目になる。
「どうした?」
クロムの問いには答えずに代わりに親指で道を刺して橋の下に行った。黙ってついて来いというメッセージに気付いたクロムが後に続く。橋の下には、真新しい血痕があった。致死量に至る程の血痕ではないが、血痕はまだ上から垂れていた。ゆっくりと血が垂れている先を目で追う。
「…ビンゴじゃねぇか。あのバカ…巻き込まれてねぇだろうな」
その先にあった"モノ"を見たクロムが呟いた。橋の天井には、血塗れになった恐らくもう死んでるであろう人間が張り付けられていた。