Devil†Story
「おかえりー!」
カフェに帰るなりエプロン姿の稀琉が駆け寄ってきた。きっとケーキ作りの真っ最中だったのだろう。稀琉が近寄ると甘い香りが漂ってきた。
「おー。ただいまー」
ロスは手を上げて微笑む。当たり前のようにクロムは何も返さないが代わりに自分の要求を口にする。
「刹那に麗弥のカラス飛ばしたんだが戻ってきてたか?」
「うん。ちゃんと来てたよ。オレも手紙見させてもらったし」
「戻ってきたんだな。視診はしたが怪我はしてなかったか?」
長い時間ではなかっただろうが狭い場所に閉じ込められていたのだ。服の中なので暴れた際に怪我をする可能性も低いが念の為にカラスの容態を確認する。
「疲れちゃったみたいだけど大きな怪我はしてないみたいだったよ。大変だったね麗弥のカラス。そういえば帰ってくるの随分遅かったけど他に何かあった?」
「あぁ。怪我がなかったんなら結構。その後目撃者に会ってな。そいつから情報を得たからお前も来い」
最低限の会話だけをし刹那が居る談話室へ歩き出す。クロムが稀琉の横を通り過ぎた際に稀琉は慌てて声を掛ける。
「あっ!その前に…はい!」
「なんだーー!?」
「あっ」
クロムが後ろを振り返り何かと聞く為に口を開いたところに何かを入れられ言葉が遮られる。口内に甘味と匂いが広がっていく。そこで初めてケーキを口に入れた事に気付いた。
「!!?」
突然食べ物を口に入れられたクロムは口元を抑える。
「口に入れられるとかぼーっとし過ぎだろ〜!ウケる!」
「ッ……!!」
指を差して笑うロスをギロリと睨みつける。
クソが!何か分からねぇもん口に入れてくるか?普通!迷子探しといい、輝太のことといい昨日から厄日が続き過ぎだろ!…つーかゲラゲラうるせぇな!笑ってんじゃねぇぞクソ悪魔が!
恨みを込めて睨むも全く見ておらずゲラゲラ笑っている。
「どう?味は良さげかな?」
対照的に能天気にニコニコと笑って問いかける稀琉に一旦諦めて口の中の物を咀嚼し飲み込んでから抗議する。
「おい稀琉!いきなり何しやがる!口に突っ込んでくんじゃねぇよ!大体使った器具はーー「大丈夫!これ(スプーン)はちゃんと使い捨てだし、調理も全ての作業を手袋つけてやったから」
クロムの声を遮るように使い捨てスプーンと手袋を顔の前で見せて笑う稀琉に呆れてしまう。
「さっき聞いてたからね!きちんと準備してたよ。その都度消毒もしてたし、全部新品の物使ったから安心してよ」
ドヤ顔で潔癖症対策を話す稀琉。クロムに食べさせるつもりであったのは明白であった。
「随分用意周到だな」
きちんと対策している稀琉に流石に驚いたロスが呟く。
「うん。麗弥が味見してくれる予定だったけど無理そうだからクロムにお願いしようと思って」
「なんで俺なんだよ!違う奴に頼めよ!!」
「ほら甘いもの好きでしょ?ロスはさっき見てたけどあんまり甘いもの食べないみたいだから。それで…どう?美味しかった?」
懲りずに味の感想を聞かれ呆れ返ってしまう。もう何を言っても最終的に味の感想を聞かれると思ったクロムは諦めて「……いいんじゃねぇの」と感想を述べる事になった。
「本当!?良かったー!これで間に合うよ!ありがとう」
エプロンのポケットからメモ帳を取り出して丸をつけた。先程、クロムの口の中に入れたのは旬の果物を模したショートケーキだったようでデザインも可愛らしい物であった。
「アハハ〜…良かったね〜決まって……」
対策を行っていたとはいえ輝太の上をいくNG行動をナチュラルに行う稀琉を見て「輝太も稀琉もある意味大物だな」とチラリとクロムの方を見て思った。クロム片手で呆れたように顔を覆っていた。怒る気も失せたのであろう。
「良かったよ!ありがとうね。それじゃあ刹那のところに行こうか。…色々と面倒なことになってるみたいだしね」
先程のほんわかとした稀琉の雰囲気は一瞬で消え去りエプロンを脱いでから神経な表情になっていた。この切り替えの早さは流石裏の従業員と言うべきだろう。
「そうなんだよなー。多分狩人の仕業だろうけど」
ロスが答えたのを聞いてクロムも顔を覆っていた手をどける。ようやく本題に入ったことによりある意味安堵する。
「そんな悠長にしてられねぇからな。短期決戦になるだろうからお前も聞け」
「了解!」
綺麗にたたんだエプロンを手に稀琉は歩き出したので2人も一緒に歩き出し刹那が居る談話室へと向かった。
カフェに帰るなりエプロン姿の稀琉が駆け寄ってきた。きっとケーキ作りの真っ最中だったのだろう。稀琉が近寄ると甘い香りが漂ってきた。
「おー。ただいまー」
ロスは手を上げて微笑む。当たり前のようにクロムは何も返さないが代わりに自分の要求を口にする。
「刹那に麗弥のカラス飛ばしたんだが戻ってきてたか?」
「うん。ちゃんと来てたよ。オレも手紙見させてもらったし」
「戻ってきたんだな。視診はしたが怪我はしてなかったか?」
長い時間ではなかっただろうが狭い場所に閉じ込められていたのだ。服の中なので暴れた際に怪我をする可能性も低いが念の為にカラスの容態を確認する。
「疲れちゃったみたいだけど大きな怪我はしてないみたいだったよ。大変だったね麗弥のカラス。そういえば帰ってくるの随分遅かったけど他に何かあった?」
「あぁ。怪我がなかったんなら結構。その後目撃者に会ってな。そいつから情報を得たからお前も来い」
最低限の会話だけをし刹那が居る談話室へ歩き出す。クロムが稀琉の横を通り過ぎた際に稀琉は慌てて声を掛ける。
「あっ!その前に…はい!」
「なんだーー!?」
「あっ」
クロムが後ろを振り返り何かと聞く為に口を開いたところに何かを入れられ言葉が遮られる。口内に甘味と匂いが広がっていく。そこで初めてケーキを口に入れた事に気付いた。
「!!?」
突然食べ物を口に入れられたクロムは口元を抑える。
「口に入れられるとかぼーっとし過ぎだろ〜!ウケる!」
「ッ……!!」
指を差して笑うロスをギロリと睨みつける。
クソが!何か分からねぇもん口に入れてくるか?普通!迷子探しといい、輝太のことといい昨日から厄日が続き過ぎだろ!…つーかゲラゲラうるせぇな!笑ってんじゃねぇぞクソ悪魔が!
恨みを込めて睨むも全く見ておらずゲラゲラ笑っている。
「どう?味は良さげかな?」
対照的に能天気にニコニコと笑って問いかける稀琉に一旦諦めて口の中の物を咀嚼し飲み込んでから抗議する。
「おい稀琉!いきなり何しやがる!口に突っ込んでくんじゃねぇよ!大体使った器具はーー「大丈夫!これ(スプーン)はちゃんと使い捨てだし、調理も全ての作業を手袋つけてやったから」
クロムの声を遮るように使い捨てスプーンと手袋を顔の前で見せて笑う稀琉に呆れてしまう。
「さっき聞いてたからね!きちんと準備してたよ。その都度消毒もしてたし、全部新品の物使ったから安心してよ」
ドヤ顔で潔癖症対策を話す稀琉。クロムに食べさせるつもりであったのは明白であった。
「随分用意周到だな」
きちんと対策している稀琉に流石に驚いたロスが呟く。
「うん。麗弥が味見してくれる予定だったけど無理そうだからクロムにお願いしようと思って」
「なんで俺なんだよ!違う奴に頼めよ!!」
「ほら甘いもの好きでしょ?ロスはさっき見てたけどあんまり甘いもの食べないみたいだから。それで…どう?美味しかった?」
懲りずに味の感想を聞かれ呆れ返ってしまう。もう何を言っても最終的に味の感想を聞かれると思ったクロムは諦めて「……いいんじゃねぇの」と感想を述べる事になった。
「本当!?良かったー!これで間に合うよ!ありがとう」
エプロンのポケットからメモ帳を取り出して丸をつけた。先程、クロムの口の中に入れたのは旬の果物を模したショートケーキだったようでデザインも可愛らしい物であった。
「アハハ〜…良かったね〜決まって……」
対策を行っていたとはいえ輝太の上をいくNG行動をナチュラルに行う稀琉を見て「輝太も稀琉もある意味大物だな」とチラリとクロムの方を見て思った。クロム片手で呆れたように顔を覆っていた。怒る気も失せたのであろう。
「良かったよ!ありがとうね。それじゃあ刹那のところに行こうか。…色々と面倒なことになってるみたいだしね」
先程のほんわかとした稀琉の雰囲気は一瞬で消え去りエプロンを脱いでから神経な表情になっていた。この切り替えの早さは流石裏の従業員と言うべきだろう。
「そうなんだよなー。多分狩人の仕業だろうけど」
ロスが答えたのを聞いてクロムも顔を覆っていた手をどける。ようやく本題に入ったことによりある意味安堵する。
「そんな悠長にしてられねぇからな。短期決戦になるだろうからお前も聞け」
「了解!」
綺麗にたたんだエプロンを手に稀琉は歩き出したので2人も一緒に歩き出し刹那が居る談話室へと向かった。