Devil†Story
A〜Cは俺たちが派遣されるまでに下調べをしとくのが仕事。AランクはクBランクやCランクの奴等に指示したり、刹那に状況を報告する奴等で5人位らしい。昨日の茶番劇をしてたのはBランクだが丁度Aランクの奴が居なかったから報告等もしていたみたいだが。本来のBランクは実際に現場に行って調査する奴等で、Cはその後をくっついてったり、書類を集める…まぁ、ようは“下っぱ”だな。昨日の馬鹿神父のせいでBランクが減ったらしいから全部で30人満たないというわけだ。
「そうだよね。それに…オレはかなり心配かなぁ…」
稀琉が溜め息をついた。稀琉は麗弥と仲が良かったから気になるのだろう。俺がここに来る前から2人は居た。年は近いし、こんな仕事してる奴なんかそうそう居ないから自然と仲良くなってったのだろう。俺には関係ないし、どうでもいいことだが。
「そうだね。無事である事を信じよう。それならまず聞き込みと偵察だね。稀琉、君は聞き込みが得意だから聞き込みしてくれる?」
刹那の言葉に稀琉は「りょーかいっ!」と笑いながら言った。
「クロムとロスは偵察を頼むよ。クロムは特に聞き込みとか苦手だろうから」
「ちっ…。めんどくせぇな…」
そうは思ったが聞き込みよりはましだ。稀琉は人懐っこいから人と関わるのも得意だろうが…俺は絶対にしたくない。人と話すのも関わるのも面倒臭いし嫌いだ。
「こいつに聞き込みなんて無理無理!脅すなら出来るだろうけど」
手を左右に振ってロスは茶化してくる。…こいつ本当に今日はやたらと突っかかってくんな。舌打ちをした後に「…繁華街辺りのビルの上でいいのか」と刹那に確認する。
「その辺りでいいよ。稀琉も合わせてその辺りで聞き込みしてくれる?」
「OK!色んな人に聞いてみるね!」
「油断すんなよ〜。稀琉まで拉致られたら洒落にならないし気をつけろよ〜」
「大丈夫だよ!場所が場所だしきちんと武器も持っていくしその辺りは相手を見て聞くから」
稀琉は指輪を指差しながらガッツポーズをした。稀琉の武器はワイヤー型の武器だ。先端の重り部分は取り外し可能で、ワイヤーは指輪は収納されている。細いワイヤーであるがその切れ味は折り込み付きだ。それだけではなく、肉弾戦もそれなりにこなすことが出来る。麗弥同様その辺のチンピラ相手なら余裕で勝つことが出来る程の実力は備えていた。しかしどうしても見た目や雰囲気はほんわかとしているのでなめられる事も多かった。その見た目にうつつを抜かした代償として痛い思いをした輩はごまんと居た。
「多少痛い目に遭わせるのはいいけど…あんまりやり過ぎないでね?」
刹那の言葉に「しないよー!オレそこまで暴力的じゃないもん」と頬を膨らませて怒る稀琉。
こんな可愛い仕草をしている稀琉だが戦闘時はその雰囲気は全くなくなる。人が変わったかのように目標を滅するその姿には目を見張る物がある。……いや。稀琉だけでいいんじゃねぇのか?少なくとも黒眼鏡が出るまではわざわざ偵察する必要ねぇだろ。
「そもそもだが…二手に分かれる必要あるか?」
「え?」
きょとんとした表情でこちらを見る刹那と稀琉。
「稀琉が情報を手に入れてから俺等が動けばいいんじゃねぇの?わざわざ偵察しなくてもーー「こらっ」
俺が話している途中でロスの野郎は頭にチョップをしてきやがった。ギロリと睨みつけるも涼しげな顔をしてやがる。
「そんな事言うなよ。しゃーないだろ?俺らは"カン"がいいんだからさ。早く麗弥探さないといけねぇんだから我慢しろよ」
ロスはフゥと溜め息をつきながら言った。カンというのはロスの察知能力だろう。ていうかこいつ…麗弥の為とか心にもねぇ事言いやがって。
「全く昨日から思いやりがねぇんだから」と呆れた様子で首を振るロス。その姿はまるで人間であった。
…たまに本当にこいつが“悪魔”なのか分からなくなる。いや悪魔であるのは分かっている。契約時はこんな感じではなかったし、ところどころで見せる顔は悪魔そのものである。だが元々掴みどころのない奴だ。本音としては"思いやり"ではないのは確かだ。気まぐれである可能性が高いだろう。それでも悪魔の癖に馴れ合いごっこをしてる事が悪魔に思えなくなる要因だ。まぁ悪魔にも色々居るんだろうが……。
そう思いながら俺は「分かった、分かった。これ以上、殺し以外の仕事が増えたらやってらんねぇからな。とりあえず気安く頭に触るな」と溜め息混じりに言い、いまだ頭に置かれている手を振り払った。
「ありがとね!それじゃ明日の午前中から聞き込みしてみるからなんかあったら携帯で……ってクロムってあんま携帯持たないんだよね?どうして?」
稀琉の問いかけにロスはピクリと反応した。
「俺は別にどっちでもいいんだがな。こいつがーー」
そこで俺はロスに口を押さえられた。
「マナーモードにしてて分からないじゃん?」
「それサイレントじゃないの?マナーモードだったらバイブ鳴るよね?」
「へっ?いっ、いやでも気付かないと面倒じゃん?」
ロスが焦りながら…でも笑いながら言った。ロスは悪魔だからか携帯から出る電波が苦手なようだ。本人が言うには“気持ち悪い”らしい。確かに携帯は人から力を抜くとか言うが……。魔界にそんなもんがないから不慣れなのだろう。原始的というかなんというか……。人柄はともかく…そこらへんは、悪魔なんだなと思いながら俺はロスの手を取った。
「さっきから気安く触るんじゃねぇよ。…まぁこんな感じでこいつが心配するから悪いが基本はカラスで状況報告してくれ」
「それは分かったけど…でも、ロスじゃなくてクロムに報告するから大丈ーー「いいからいいから!カラス達もいい運動になるからさ!」
稀琉の言葉に被せるように何故か慌てているロスはゴリ押しを決め込んだ。まだ納得しきれていない稀琉だったがあまりの勢いに「う、うん?分かったよ…?」と不思議そうに承諾した。
「決まりだね。明日の午前中からよろしくね」
「はーい!」
「了解〜」
「………」
稀琉とロスは返事をしたがクロムは無言で代わりに溜め息をついた。こうして明日以降麗弥の捜索活動が開始されることとなった。
「そうだよね。それに…オレはかなり心配かなぁ…」
稀琉が溜め息をついた。稀琉は麗弥と仲が良かったから気になるのだろう。俺がここに来る前から2人は居た。年は近いし、こんな仕事してる奴なんかそうそう居ないから自然と仲良くなってったのだろう。俺には関係ないし、どうでもいいことだが。
「そうだね。無事である事を信じよう。それならまず聞き込みと偵察だね。稀琉、君は聞き込みが得意だから聞き込みしてくれる?」
刹那の言葉に稀琉は「りょーかいっ!」と笑いながら言った。
「クロムとロスは偵察を頼むよ。クロムは特に聞き込みとか苦手だろうから」
「ちっ…。めんどくせぇな…」
そうは思ったが聞き込みよりはましだ。稀琉は人懐っこいから人と関わるのも得意だろうが…俺は絶対にしたくない。人と話すのも関わるのも面倒臭いし嫌いだ。
「こいつに聞き込みなんて無理無理!脅すなら出来るだろうけど」
手を左右に振ってロスは茶化してくる。…こいつ本当に今日はやたらと突っかかってくんな。舌打ちをした後に「…繁華街辺りのビルの上でいいのか」と刹那に確認する。
「その辺りでいいよ。稀琉も合わせてその辺りで聞き込みしてくれる?」
「OK!色んな人に聞いてみるね!」
「油断すんなよ〜。稀琉まで拉致られたら洒落にならないし気をつけろよ〜」
「大丈夫だよ!場所が場所だしきちんと武器も持っていくしその辺りは相手を見て聞くから」
稀琉は指輪を指差しながらガッツポーズをした。稀琉の武器はワイヤー型の武器だ。先端の重り部分は取り外し可能で、ワイヤーは指輪は収納されている。細いワイヤーであるがその切れ味は折り込み付きだ。それだけではなく、肉弾戦もそれなりにこなすことが出来る。麗弥同様その辺のチンピラ相手なら余裕で勝つことが出来る程の実力は備えていた。しかしどうしても見た目や雰囲気はほんわかとしているのでなめられる事も多かった。その見た目にうつつを抜かした代償として痛い思いをした輩はごまんと居た。
「多少痛い目に遭わせるのはいいけど…あんまりやり過ぎないでね?」
刹那の言葉に「しないよー!オレそこまで暴力的じゃないもん」と頬を膨らませて怒る稀琉。
こんな可愛い仕草をしている稀琉だが戦闘時はその雰囲気は全くなくなる。人が変わったかのように目標を滅するその姿には目を見張る物がある。……いや。稀琉だけでいいんじゃねぇのか?少なくとも黒眼鏡が出るまではわざわざ偵察する必要ねぇだろ。
「そもそもだが…二手に分かれる必要あるか?」
「え?」
きょとんとした表情でこちらを見る刹那と稀琉。
「稀琉が情報を手に入れてから俺等が動けばいいんじゃねぇの?わざわざ偵察しなくてもーー「こらっ」
俺が話している途中でロスの野郎は頭にチョップをしてきやがった。ギロリと睨みつけるも涼しげな顔をしてやがる。
「そんな事言うなよ。しゃーないだろ?俺らは"カン"がいいんだからさ。早く麗弥探さないといけねぇんだから我慢しろよ」
ロスはフゥと溜め息をつきながら言った。カンというのはロスの察知能力だろう。ていうかこいつ…麗弥の為とか心にもねぇ事言いやがって。
「全く昨日から思いやりがねぇんだから」と呆れた様子で首を振るロス。その姿はまるで人間であった。
…たまに本当にこいつが“悪魔”なのか分からなくなる。いや悪魔であるのは分かっている。契約時はこんな感じではなかったし、ところどころで見せる顔は悪魔そのものである。だが元々掴みどころのない奴だ。本音としては"思いやり"ではないのは確かだ。気まぐれである可能性が高いだろう。それでも悪魔の癖に馴れ合いごっこをしてる事が悪魔に思えなくなる要因だ。まぁ悪魔にも色々居るんだろうが……。
そう思いながら俺は「分かった、分かった。これ以上、殺し以外の仕事が増えたらやってらんねぇからな。とりあえず気安く頭に触るな」と溜め息混じりに言い、いまだ頭に置かれている手を振り払った。
「ありがとね!それじゃ明日の午前中から聞き込みしてみるからなんかあったら携帯で……ってクロムってあんま携帯持たないんだよね?どうして?」
稀琉の問いかけにロスはピクリと反応した。
「俺は別にどっちでもいいんだがな。こいつがーー」
そこで俺はロスに口を押さえられた。
「マナーモードにしてて分からないじゃん?」
「それサイレントじゃないの?マナーモードだったらバイブ鳴るよね?」
「へっ?いっ、いやでも気付かないと面倒じゃん?」
ロスが焦りながら…でも笑いながら言った。ロスは悪魔だからか携帯から出る電波が苦手なようだ。本人が言うには“気持ち悪い”らしい。確かに携帯は人から力を抜くとか言うが……。魔界にそんなもんがないから不慣れなのだろう。原始的というかなんというか……。人柄はともかく…そこらへんは、悪魔なんだなと思いながら俺はロスの手を取った。
「さっきから気安く触るんじゃねぇよ。…まぁこんな感じでこいつが心配するから悪いが基本はカラスで状況報告してくれ」
「それは分かったけど…でも、ロスじゃなくてクロムに報告するから大丈ーー「いいからいいから!カラス達もいい運動になるからさ!」
稀琉の言葉に被せるように何故か慌てているロスはゴリ押しを決め込んだ。まだ納得しきれていない稀琉だったがあまりの勢いに「う、うん?分かったよ…?」と不思議そうに承諾した。
「決まりだね。明日の午前中からよろしくね」
「はーい!」
「了解〜」
「………」
稀琉とロスは返事をしたがクロムは無言で代わりに溜め息をついた。こうして明日以降麗弥の捜索活動が開始されることとなった。