Devil†Story
ー自室ー

クローを止まり木に捕ませてから俺はシャワーを浴びる事にした。あんな汚ねぇ街のおまけに強風だった所で偵察してれば汚れが付着してるだろう。想像するだけで寒気がしてきた。シャワーをさっさと済ませてベッドに横になる。部屋の中は静けさに包まれていた。ここに来てからずっとロスと一緒に居たので久々に1人で過ごす事となる。今までもロスが外出する事はあったが丸1日以上出掛ける事はなかった。時間を見ると14時を過ぎていた。…夕方までとりあえず寝るか。靴とコートを脱いで再度横になると、止まり木に捕まっていたクローが飛んできて、寝転ぶ俺の胸に止まった。


「どうした?俺は少し寝るぞ。後でカラス小屋に連れて行ってやるからそこに居ろ」


「………」


「…なんか言いたい事があるなら言え」


何やら言いたそうなクローに問いかける。こいつが下を向いて俺の顔を見ない時は大体言いづらい事を言おうか悩んでいる時だ。少しの間そのまま居たクローだが意を決した様に話し始めた。


「カーカー…カァ」


「…………」


「カー…カァカァカァ」


「………あぁ。分かってる。"ビジネスパートナー"として信用はしてても、あいつを信頼してる訳じゃない。…警戒はしてるさ」


天井を見ながら俺はクローの言葉に返す。クローが言っているのはロスの事であった。ロスは悪魔だ。それも並の悪魔ではない。どんなに普段親しみやすい雰囲気を出してても、悪魔が人間を同等に見る事はない。言葉を巧みに使って人を陥れる事は当たり前の事だ。


「…カーカァカー」


「……それは認める。お前の言いたい事は分かってる。あいつとの契約時の事は忘れた事がない。その時にどんな目に遭ったかもな。…だが、俺は俺の目的の為にあいつと契約した。その為に多少ご機嫌取りをしなきゃならねぇなら、やってやるだけだ。面倒でもな。…お前なら理解してくれるだろ?」


「………」


ロスとの契約をする前から2人は一緒に過ごしており、いわば家族みたいなものだった。俺がこんな話をするのもクローだけだ。それはクローも同様だ。だからこいつが俺の事を心配してくれているのは分かってる。だが…。


俺の胸の上で心配そうに俺を見ているクローの頭を撫でる。


「………お前には苦労かけるな。だが…もう後戻りは出来ない。するつもりもない。その為なら…尻尾振ってでも目的を果たす。絶対にな」


「………」


まだクローは何か言いたげだったがそれ以上、何も言う事はなかった。ただ俺の胸の上で目を閉じた。


「………」


俺は暫くの間、そのままクローを撫で続けた。…あったけぇな。クローが乗っている場所が温かく心地良かった。その温かさに誘発されて段々と眠気が襲ってくる。チラリとクローを見ると寝息を立てていた。こうやって一緒に寝る事も久しぶりだ。俺の胸の上で安らかに眠っているクローを撫でていた手が止まる。


「………悪いな」


無意識に出た謝罪の言葉。その言葉の意味が分かるのは2人だけだ。クロムも目を閉じてそのまま眠りの中に落ちていった。
< 88 / 539 >

この作品をシェア

pagetop