Devil†Story
ーー夕方。自然に眠りから覚めて目を開ける。…何時だ?時計を見ると17:00を過ぎていた。胸の上に温かさを感じて目を向けるとクローが居た。…そうだった。ここで寝てたんだったな。俺が起きた気配に気付いたのだろう。クローも目を開けた。


「起きたか。そろそろカラス小屋に戻るぞ」


「カー」


返事をしたクローは跳ねて俺の体から降りた。起き上がって靴を履き、コートを羽織り、髪も結んだ。それを見たクローはすぐに飛んできて肩に止まった。俺はカラス小屋に向かった。


ーーカラス小屋に着くと他のカラス達も居た。暗くなってきているので全員が寝ている様だ。クローを腕に止まらせる。


「お前俺と一緒に寝ちまったけど寝れるか?」


「カー」


「そうか。俺に似たな。じゃあまた任務の時は頼んだぞ」


俺の言葉に頷いてから飛び立った。クローはこのカラス小屋のボス的存在になっていた。だから1番上の見晴らしの良い場所を寝床にしている。クローが部屋に戻ったのを確認してから俺もカラス小屋を出た。あいつも居ないし小屋から自室に戻る前に図書室でも行って本でも持ってくるか。そう思い図書室に向かおうとした時だった。


「クロム!ここに居たんだね!」


後ろから声が聞こえて振り返る。そこには稀琉が居た。


「どうした」


「麗弥の事なんだけど…狙われた理由が分かったかもしれないんだ」


「!」


俺は体を稀琉の方に向けた。狙われた理由に興味はないが、それが分かれば馬鹿探しが長引かないかもしれない。早く終わらせたい俺にとっては吉報だ。


「本当か?」


「うん。それで刹那が話したいから来てだって!」


「分かった」


図書室ではなく、刹那が居る談話室へと歩みを変える。稀琉が話しかけてくるので、返事するのは面倒だがとにかく、さっさとこんなままごとみたいな仕事は終わらせてしまいたい。それだけを思い、稀琉の話も適当に足早に談話室へ向かった。


「来たね。お疲れ様」


稀琉がノックしてすぐに部屋に入ると、刹那は昼間と変わらず椅子に座って俺等を出迎えた。変わっているのは机の上に資料が増えている事か。


「お疲れ様!それで麗弥が狙われた理由が分かったかもだって?」


挨拶もそこそこに稀琉はすぐに本題に移る。こいつが無駄話をせずに本題に入るなんて珍しい。よっぽどあの馬鹿が心配なんだろうな。まぁ、そっちの方がありがたいが。


「仮説だけどね。俺もあの後色々調べてみたんだけど…気になる話があったんだ。それはこれを身に付けている人物を探してるって噂ね」


そう言って資料の中から1枚の紙を見せてきた。


「ーー!それって…」


「………」


稀琉は驚いた表情を浮かべた。それはそうだろう。


「そう。このロゴ…うちのロゴを身に付けた人物を探してるって事だ」


刹那が見せてきたのはBCのロゴだった。稀琉の帽子や麗弥の眼帯、俺やロスのコートに入ってるロゴだ。これは表の従業員の名札にも入っている物だが、衣類等に身につけているのは裏の従業員だけであった。


「仮に…今回麗弥を攫ったのが狩人だとしたら、恐らくうちの噂も知っていて潰そうと目論んでるだろうね」


「確かに今や未成年も依頼してくる事が多い位、影で噂になってるのは知ってたけど…なんでここを潰す為に麗弥を攫う必要があったんだろ?」


「…餌だろうな」


「え?」 


稀琉がどう言う事だと俺に投げかける。俺は腕を組んで稀琉に分かるように言葉を続けた。 


「あの場であの馬鹿を殺さなかったのは、馬鹿を餌に俺等を釣ろうって魂胆だろう」


俺の言葉に刹那も頷いた。


「クロムの言う通りで麗弥が居なくなれば、他の従業員が血眼になって探してくるって思ったんだろうね。だからすぐには命を取らないで泳がせてた。…現にまんまと思惑通りに動いちゃってるしね」


「そっか…。でも…麗弥は大丈夫かな?今日で2日目になるし…」


理解した稀琉は心配そうな目を刹那に向けていた。
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