Devil†Story
―次の日……


俺は自然に目が覚めた。カーテンの間からほんのりと朝日の光が漏れている。


「……朝か」


ベットから起き上がって時計を見るとまだ5時だった。


「ちっ…変な時間に目が冴えちまった…」


稀琉と任務に行く時間まではまだまだ時間がある。もう一度寝る気にもなれず、舌打ちをしてからベッドから出た。


「……クソ。早朝はさみぃな」


昨日諦めたシャワーでも浴びるか。起きたのも早々に俺はシャワー室に入って熱めのお湯を浴びた。体によくないと聞くが知るか。寒い方が俺には大問題だ。熱めのシャワーを浴びるといくらか寒さが緩和された。湯冷めする前にさっさと着替えを済ませようとタンクトップ(ヒートテック)を着ると首につけているネックレスが目に入った。
クロムとロスの部屋は私物と言って良いものが殆どなかった。室内も同様でカラーが黒でインテリアも殆どない。持っているのは剣とそのアクセサリーだけだ。剣は契約時にロスから貰った物なので私物とは違う。数少ない私物の1つがそのダイヤ型の透明なネックレス。


「……」


俺はいつもは隠しているネックレスに触れた。朝日に反射して輝きを帯びているそれを見ると、あの頃と変わらず綺麗だと感じる。


「…まだこれに縛られてるのか……。俺は」


ボソッと独り言を呟く。昨日に引き続きクロムがそんな事を言うのは珍しい事だった。…捨てようと何度も思った。だが…結局捨てられない。どうしてもこれを捨てる事が俺には出来なかった。


ー―これ……。お前、欲しがってたろ…?


「………」



あの時の記憶が勝手に俺の頭の中を支配してきて、それを振り払うように周りを見ると目に鏡が映った。久々に鏡の前に立つ。いつ見ても変わらない自分の容姿。紅黒い目に細身の体、黒過ぎて若干青みが帯びている黒髪、白い肌。左胸に血印が刻まれている事や身長、髪が伸びた事以外あの時から何も変わっていない。…相変わらず気持ち悪い見た目だな。ふと自分の顔を見ると鏡越しの自分と目があう。…強いて言えばこんなに深い…紅黒い目じゃなかった位か。


「…ハッ」


思わず鼻で笑う。…本当昨日からウゼェな。ロスが居ないってだけでこのザマかよ。気持ち悪ぃ。鏡から離れようとした瞬間、昨日ロスから言われた言葉が突然思い出された。


ーガリガリ女顔!


「………」



再度鏡に目を向ける。ガリガリなのはこの際認めてやる。お世辞にもガタイが良いとは言えない見た目だ。それは良いとして…。鏡に顔を近づけて自分の顔を見る。こんなまじまじと見たのは何年振りだろうか。…俺の何処が女顔なんだよ。…まつ毛が長いせいか?それとも…顔の大きさや形か?口の形とか?…いや。ねぇだろ。大体こんな目つきの悪い女いるかよ。…やっぱ髪が長いからか?色々な要因を浮かべるがやはり自分にはそうは見えなかった。…クソが。どいつもこいつも間違えやがって。目が腐ってんじゃねぇの。



「……くしっ」


体が冷えてきてくしゃみが出てきた。…アホらしい。俺は鏡から離れて今度こそ着替えを済ませていく。服を重ね着し、コートを羽織った時だった。



ーーコンコンッ


「!」


突然部屋にノック音が鳴り響いた。
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