Devil†Story
“鶴の一声”(クローはカラスだが)と言うやつのようだ。クローは俺の前に来ると鋭い目付きでカラス達を睨みつけている。他のカラス達はガタガタ震えて近くの木に止まった。それでも、クローはまだ睨み付けている。
「…クロー。そのくらいにしとけ。お前みたいにビビらないやつはあんまいないんだから」
俺がそう言うとクローは睨むのをやめ、俺の肩に止まった。同時に腕に止まっている太陽を睨みつけようとしていたので「やめろ」と手で顔を覆った。
「よし。とりあえず荒治療だが落ち着いたな…。お前らは俺と来い」
クローと太陽を連れ稀琉の待つ外に出た。その途端、稀琉が心配そうに駆け寄ってきた。
「クロム!大丈夫!?」
「平気だ」
「大丈夫じゃないよ!血が出てるじゃん!」
そんなに出血していないのだが、稀琉は血相を変えて俺の手を取った。
「あ?こんくらい平気だって」
「それだけじゃない!人差し指だって内出血してるよ!…ダメじゃないか!太陽!昨日クロムに助けてもらったの忘れちゃったの?!こっちにおいで!」
腕に止まっている太陽に厳しく叱責する稀琉。稀琉に怒られた太陽は項垂れてしまったのだが、稀琉は俺の腕から太陽を移動させようと手を伸ばした。太陽はチラリと俺の方にまだ恐怖が残る瞳を向けた。クローの奴はざまぁみろと言ってるので再び諌めながら、稀琉を手で制する。
「そうあんまり強く言ってやるな。こいつだって恐怖でパニックになってたんだから」
「でも…」
「でもじゃねぇ。飼い主として責任を持つのは良いが、こいつは昨日の怪我で上手く飛べないんだ。そこに得体の知れない恐怖が襲ってきたらパニックになるだろ。俺等で言う足を怪我した状態で敵に囲まれたようなものだぞ」
「うっ…それは……ごめん。クロム、太陽」
具体的に太陽の状態を説明すると稀琉もそれ以上言うのをやめて謝罪してきた。太陽は安心した様子で今度は稀琉の腕に飛んで戻った。
「別にいい。それより稀琉。怪我してるカラスを集団の場に入れんな」
「え?なんで?」
太陽を優しく撫でながら稀琉はキョトンとした表情で聞き返してくる。
「いいか。動物の世界は弱肉強食だ。ここのカラス達はあまりそんな事しないが、それでも序列がある。さっきのクローを見てたら分かるだろ。そんな中に怪我で弱った個体を入れてみろ。迫害されても知らねえぞ」
「あっ…そっか。重ね重ねごめんね」
「カー」
太陽は稀琉に「大丈夫。クローくんが守ってくれたから」と言っているのを聞いてクローを見る。クローはフイッと顔を横に向けていた。
「…なんだ。ざまぁみろとか言いながら面倒見てたのか」
「カー!」
クローは反論していたが、その様子からきちんと面倒を見ていたのは明らかだった。
「もしかして…クローが太陽を守ってくれたの?」
「そうらしい。きちんとボスしてるようで何よりだ」
「ありがとうね。クロー」
稀琉は優しく笑いながらクローの頭を撫でた。いつもなら俺以外に触られるのを拒む事が多いのだが、じっと撫でられていた。太陽もクローに礼を言いながら俺の肩に止まり、首の後ろへ回ったかと思うとクローにくっついていた。
「カー!!」
クローが文句を言うが太陽は嬉しかったようで何度か体を擦り付けた後、稀琉のところへ戻っていった。…クローも俺に似てるところがあるが、太陽も稀琉に似ているな。飼い主に似るのか…。だが、麗弥のカラスはそんな事ないなとこの間話した内容を思い出していた。話と言えば…
「本題だがクロー。何があった?」
本来の目的を思い出した俺はクローに事情を聞いた。
「カーカー」
「………」
クローの声に耳を傾ける。
「……なるほどな」
「何があったの?」
「何か…この近くにすげぇ殺気を持った奴が居るらしい。…その気配にやられてるみたいだ」
確かに…さっきまではカラス達の悲鳴が強くてあんま感じなかったが、工業地帯の方から感じるな。カラスはこういうのに敏感だから尚更反応したのだろう。
「殺気?」
「あぁ。多分狩人のだろうな」
「狩人の殺気でここまでカラス達が怯えるなんて…。早く麗弥を見つけ出さないとだね」
稀琉は太陽を肩に乗せて帽子を直した。その目は先程とは違い鋭い眼光を帯びていた。
「そうだな」
「早めに行く?クロムが良ければだけど」
「どうせ起きちまったからな。さっさと済ませるに越した事はない」
「ありがとう。じゃあすぐ準備して向かおうか」
稀琉の言葉に頷きながら気配に集中する。
…きっとあの吸血鬼の黒眼鏡のだな…。昨日稀琉の後をつけてた奴の気配は殆ど感じなかったが今日はそうじゃねぇしクローも“あれは人間の気配なんかじゃない”と言っていた。クローがカラス小屋に行った時にそっちの方向を見ていたのはそういう事だ。面倒だが…後で刹那に報告しねぇと…。刹那は何故だか俺とロスと知り合う前からあっちの住人の存在を知っているらしい。こちらとしてもそっちの方が楽だが…。
そんな考え事をしていた時、不意に稀琉が口を開いた。
「それにしても…やっぱりクローは凄いね」
「あっ?」
俺が聞き返すと稀琉はクローに触りながら言った。
「だって、クロムが襲われた時にクロムを助けてたでしょ?凄いなーって思って」
「ねー?」とクローの首辺りを優しく撫でる稀琉。クローは稀琉に触られる事に慣れたのか、気持ち良さそうに目を瞑っている。
「まあ…。ボスとして気に入らない事してたのもあるだろうな」
俺が素っ気なく言うと「それは違うよ〜」と笑いながら稀琉が言った。
「…クロー。そのくらいにしとけ。お前みたいにビビらないやつはあんまいないんだから」
俺がそう言うとクローは睨むのをやめ、俺の肩に止まった。同時に腕に止まっている太陽を睨みつけようとしていたので「やめろ」と手で顔を覆った。
「よし。とりあえず荒治療だが落ち着いたな…。お前らは俺と来い」
クローと太陽を連れ稀琉の待つ外に出た。その途端、稀琉が心配そうに駆け寄ってきた。
「クロム!大丈夫!?」
「平気だ」
「大丈夫じゃないよ!血が出てるじゃん!」
そんなに出血していないのだが、稀琉は血相を変えて俺の手を取った。
「あ?こんくらい平気だって」
「それだけじゃない!人差し指だって内出血してるよ!…ダメじゃないか!太陽!昨日クロムに助けてもらったの忘れちゃったの?!こっちにおいで!」
腕に止まっている太陽に厳しく叱責する稀琉。稀琉に怒られた太陽は項垂れてしまったのだが、稀琉は俺の腕から太陽を移動させようと手を伸ばした。太陽はチラリと俺の方にまだ恐怖が残る瞳を向けた。クローの奴はざまぁみろと言ってるので再び諌めながら、稀琉を手で制する。
「そうあんまり強く言ってやるな。こいつだって恐怖でパニックになってたんだから」
「でも…」
「でもじゃねぇ。飼い主として責任を持つのは良いが、こいつは昨日の怪我で上手く飛べないんだ。そこに得体の知れない恐怖が襲ってきたらパニックになるだろ。俺等で言う足を怪我した状態で敵に囲まれたようなものだぞ」
「うっ…それは……ごめん。クロム、太陽」
具体的に太陽の状態を説明すると稀琉もそれ以上言うのをやめて謝罪してきた。太陽は安心した様子で今度は稀琉の腕に飛んで戻った。
「別にいい。それより稀琉。怪我してるカラスを集団の場に入れんな」
「え?なんで?」
太陽を優しく撫でながら稀琉はキョトンとした表情で聞き返してくる。
「いいか。動物の世界は弱肉強食だ。ここのカラス達はあまりそんな事しないが、それでも序列がある。さっきのクローを見てたら分かるだろ。そんな中に怪我で弱った個体を入れてみろ。迫害されても知らねえぞ」
「あっ…そっか。重ね重ねごめんね」
「カー」
太陽は稀琉に「大丈夫。クローくんが守ってくれたから」と言っているのを聞いてクローを見る。クローはフイッと顔を横に向けていた。
「…なんだ。ざまぁみろとか言いながら面倒見てたのか」
「カー!」
クローは反論していたが、その様子からきちんと面倒を見ていたのは明らかだった。
「もしかして…クローが太陽を守ってくれたの?」
「そうらしい。きちんとボスしてるようで何よりだ」
「ありがとうね。クロー」
稀琉は優しく笑いながらクローの頭を撫でた。いつもなら俺以外に触られるのを拒む事が多いのだが、じっと撫でられていた。太陽もクローに礼を言いながら俺の肩に止まり、首の後ろへ回ったかと思うとクローにくっついていた。
「カー!!」
クローが文句を言うが太陽は嬉しかったようで何度か体を擦り付けた後、稀琉のところへ戻っていった。…クローも俺に似てるところがあるが、太陽も稀琉に似ているな。飼い主に似るのか…。だが、麗弥のカラスはそんな事ないなとこの間話した内容を思い出していた。話と言えば…
「本題だがクロー。何があった?」
本来の目的を思い出した俺はクローに事情を聞いた。
「カーカー」
「………」
クローの声に耳を傾ける。
「……なるほどな」
「何があったの?」
「何か…この近くにすげぇ殺気を持った奴が居るらしい。…その気配にやられてるみたいだ」
確かに…さっきまではカラス達の悲鳴が強くてあんま感じなかったが、工業地帯の方から感じるな。カラスはこういうのに敏感だから尚更反応したのだろう。
「殺気?」
「あぁ。多分狩人のだろうな」
「狩人の殺気でここまでカラス達が怯えるなんて…。早く麗弥を見つけ出さないとだね」
稀琉は太陽を肩に乗せて帽子を直した。その目は先程とは違い鋭い眼光を帯びていた。
「そうだな」
「早めに行く?クロムが良ければだけど」
「どうせ起きちまったからな。さっさと済ませるに越した事はない」
「ありがとう。じゃあすぐ準備して向かおうか」
稀琉の言葉に頷きながら気配に集中する。
…きっとあの吸血鬼の黒眼鏡のだな…。昨日稀琉の後をつけてた奴の気配は殆ど感じなかったが今日はそうじゃねぇしクローも“あれは人間の気配なんかじゃない”と言っていた。クローがカラス小屋に行った時にそっちの方向を見ていたのはそういう事だ。面倒だが…後で刹那に報告しねぇと…。刹那は何故だか俺とロスと知り合う前からあっちの住人の存在を知っているらしい。こちらとしてもそっちの方が楽だが…。
そんな考え事をしていた時、不意に稀琉が口を開いた。
「それにしても…やっぱりクローは凄いね」
「あっ?」
俺が聞き返すと稀琉はクローに触りながら言った。
「だって、クロムが襲われた時にクロムを助けてたでしょ?凄いなーって思って」
「ねー?」とクローの首辺りを優しく撫でる稀琉。クローは稀琉に触られる事に慣れたのか、気持ち良さそうに目を瞑っている。
「まあ…。ボスとして気に入らない事してたのもあるだろうな」
俺が素っ気なく言うと「それは違うよ〜」と笑いながら稀琉が言った。