Devil†Story
「何処も汚ねぇだけで何もねぇな…。カビくせぇし」
3個目の廃墟の探索を終え、外に出た俺はマスクを取りながら悪態をついた。廃墟に行く可能性があったのでマスクを持ってきていた。肺が弱いとかアレルギーがあるとかそんな事はないのだが、汚い物が体に付着するのが嫌で持ってきていたのだった。
「大体なんで俺がこんな汚ねぇ所に来て、あのバカを探さなきゃなんねぇんだよ。さみぃし」
日中でも人が去った後の建物は不気味さを伴っている。その姿が美しいと思うマニアも居るが、不気味さや美しさよりも汚さが勝っているクロムはマスクを廃墟側に投げ捨てた。
奴等の気配がしない以上全ての廃墟を見る以外方法はねぇんだが…クソが。クロムは段々と不潔さや寒さにイライラし始めていた。そのイライラを抑えるように早歩きで進むと、建物と建物の間に林が見えた。その林の脇に遊歩道があり、その遊歩道に見覚えがあった。
「あ?なんかここ見覚えが……あぁ。そういや"あそこ"の裏側なのか…」
遊歩道の看板を見つめながら俺は独り言を呟いた。そこはクロムにとってある意味馴染みのある場所だった。この倉庫外と住宅街の間には林があり、林を抜けると馴染みのある住宅街に出る。その林を抜けた先…今は廃墟になっているある建物をクロムはよく知っていた。
「……チッ。嫌なもん思い出させやがって」
馴染みがある場所とはいえ、そこは良い思い出がある場所ではなかった。フードを深く被り次の廃墟に向かおうと歩き始めると携帯が鳴り響いた。ポケットから携帯を取るとディスプレイに稀琉の名前が表示されている。携帯を開いて通話ボタンを押した。
「どうした」
「クロム!お願い!でっ出たの!!今すぐこっちきて!!!」
あまりの声のボリュームに携帯を耳から離す。
「うるせぇっての。なんだ?何かあったのか?」
自分が話す時だけ近付け、再度携帯を耳から離すとやはり稀琉は大きな声で話し始めた。
「オッオレ!オレッ!あの!女の人が!!」
「…ハァ?」
「女の人が居て!あのっ!」
どうやらパニックになっている様で何を伝えたいのか全く分からない。…こいつも太陽もパニックになんのが好きだな。電話口で大きな声を出して不明瞭な事を言い続ける稀琉に、俺は深呼吸してから言葉を発した。
「うるせぇって言ってんだろ!!耳がおかしくなるっての!!!落ち着かねぇと殺すぞ!!!」
静かな倉庫街に俺の声が響き渡る。その声に息を飲むような声がした。
「ゴッ、ゴメン…!今、廃工場の様子を見てたんだけど…そっそこの2階の窓際に女の人が立ってて…!白いワンピース着てて髪の長い人で…!」
「あぁ?なら中入って様子見ろよ。噂の女かもしれねぇだろ」
「そっそれは分かってるけど…!でも無理…!オレ怖くて動けない…!お願いだからこっちに来て…!」
先程怪談話をしてしまった影響か稀琉は動けなくなってる様子だ。こいつは本当に…。盛大な溜め息をついた後に「場所何処だ?」と聞く。
「あっあそこ!刹那がお菓子発注してる工場を側のっ!」
「あぁ。少し奥に行った所な。分かった」
クロムがよく貰う試供品のお菓子はその工場で作られていた。仕事上、工場の位置は把握しており、その近くで廃工場になってるのは1つだけだったのですぐに特定出来た。
「あ、ありがとう!ねぇ可能なら電話繋げたまーー」と稀琉が言ってる途中で俺は電話を切った。マナーモードにして携帯を折りたたむ。なんでバカ探しの他に怖がりの面倒まで見なきゃなんねぇんだよ、腹が立つ。
イライラしつつも今度は反対側の工事地帯に向かって歩き出した。
3個目の廃墟の探索を終え、外に出た俺はマスクを取りながら悪態をついた。廃墟に行く可能性があったのでマスクを持ってきていた。肺が弱いとかアレルギーがあるとかそんな事はないのだが、汚い物が体に付着するのが嫌で持ってきていたのだった。
「大体なんで俺がこんな汚ねぇ所に来て、あのバカを探さなきゃなんねぇんだよ。さみぃし」
日中でも人が去った後の建物は不気味さを伴っている。その姿が美しいと思うマニアも居るが、不気味さや美しさよりも汚さが勝っているクロムはマスクを廃墟側に投げ捨てた。
奴等の気配がしない以上全ての廃墟を見る以外方法はねぇんだが…クソが。クロムは段々と不潔さや寒さにイライラし始めていた。そのイライラを抑えるように早歩きで進むと、建物と建物の間に林が見えた。その林の脇に遊歩道があり、その遊歩道に見覚えがあった。
「あ?なんかここ見覚えが……あぁ。そういや"あそこ"の裏側なのか…」
遊歩道の看板を見つめながら俺は独り言を呟いた。そこはクロムにとってある意味馴染みのある場所だった。この倉庫外と住宅街の間には林があり、林を抜けると馴染みのある住宅街に出る。その林を抜けた先…今は廃墟になっているある建物をクロムはよく知っていた。
「……チッ。嫌なもん思い出させやがって」
馴染みがある場所とはいえ、そこは良い思い出がある場所ではなかった。フードを深く被り次の廃墟に向かおうと歩き始めると携帯が鳴り響いた。ポケットから携帯を取るとディスプレイに稀琉の名前が表示されている。携帯を開いて通話ボタンを押した。
「どうした」
「クロム!お願い!でっ出たの!!今すぐこっちきて!!!」
あまりの声のボリュームに携帯を耳から離す。
「うるせぇっての。なんだ?何かあったのか?」
自分が話す時だけ近付け、再度携帯を耳から離すとやはり稀琉は大きな声で話し始めた。
「オッオレ!オレッ!あの!女の人が!!」
「…ハァ?」
「女の人が居て!あのっ!」
どうやらパニックになっている様で何を伝えたいのか全く分からない。…こいつも太陽もパニックになんのが好きだな。電話口で大きな声を出して不明瞭な事を言い続ける稀琉に、俺は深呼吸してから言葉を発した。
「うるせぇって言ってんだろ!!耳がおかしくなるっての!!!落ち着かねぇと殺すぞ!!!」
静かな倉庫街に俺の声が響き渡る。その声に息を飲むような声がした。
「ゴッ、ゴメン…!今、廃工場の様子を見てたんだけど…そっそこの2階の窓際に女の人が立ってて…!白いワンピース着てて髪の長い人で…!」
「あぁ?なら中入って様子見ろよ。噂の女かもしれねぇだろ」
「そっそれは分かってるけど…!でも無理…!オレ怖くて動けない…!お願いだからこっちに来て…!」
先程怪談話をしてしまった影響か稀琉は動けなくなってる様子だ。こいつは本当に…。盛大な溜め息をついた後に「場所何処だ?」と聞く。
「あっあそこ!刹那がお菓子発注してる工場を側のっ!」
「あぁ。少し奥に行った所な。分かった」
クロムがよく貰う試供品のお菓子はその工場で作られていた。仕事上、工場の位置は把握しており、その近くで廃工場になってるのは1つだけだったのですぐに特定出来た。
「あ、ありがとう!ねぇ可能なら電話繋げたまーー」と稀琉が言ってる途中で俺は電話を切った。マナーモードにして携帯を折りたたむ。なんでバカ探しの他に怖がりの面倒まで見なきゃなんねぇんだよ、腹が立つ。
イライラしつつも今度は反対側の工事地帯に向かって歩き出した。