やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「何だよ、小夜。お前が言ったんだろ。ドレスに汚れがついてるって!だから、今、着替えようとしてるんじゃないか!」
言ってることはまともだが、言ってる場所がまともではない、真木ヒナタ。
サブは、真木ヒナタの命令を断れるわけはなく、周りをキョロキョロしながら、しょうがなく、脱ぎ始めようとする。
その時、いきなり、真木ヒナタの頭上からゲンコツが落ちた。
ゴンッ!!!
「イテェ~!!!!」
真木ヒナタの叫びが部屋の中にこだまする。
しかし、さすがに上流階級っぽい人々は、あからさまに真木ヒナタに注目することはしなかった。
私は、真木ヒナタにゲンコツをした人物を見て、うれしい悲鳴をあげた。
「龍一さん!!!」
「・・・・小夜さん、そのドレス姿、非常にお似合いですよ。」
「龍一さんも、いつもの執事の格好とは違うスーツ・・・・凄い似合ってます。」
私は、いつもとは違うスーツを着ている執事に見とれていた。
「ありがとうございます。今日は、ひとりのお客として呼ばれましたので、このスーツで来ました。それよりも・・・・・こんなところまで来て、何を恥ずかしいことをしてるんですか、サブさん、ヒナタさん。」
執事が呆れたような表情で真木ヒナタとサブを見た。