やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】


「・・・・・・。」



私は、あえて口には出さなかったが、真木ヒナタと同じように確信に近い嫌な予感を感じていた。



「あっ、葵様が出てこられましたよ。」



執事が、私達に声をかける。



葵は、部屋に入って来ると一段高くなっているステージのような所に上がり、その上においてあった、豪華なイスに座った。



まるで、女王様のような感じ。



部屋にいるすべての視線がステージ上の葵に注がれる。



「それでは、本日は、葵様の婚約発表においでくださいまして、誠にありがとうございます。・・・・・・・・」



ステージの葵の横に立っている椿 麗子が、挨拶を始めた。



「・・・・・・・・それでは、葵様の婚約者登場です。」



椿 麗子は、最後にこの言葉とともに、近くの出入り口を指差した。



一同の視線が、指差されたドアに集まる。



私は、ドアに注目しながらも、確信に近い悪い予感を消せないでいた。



< 111 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop