やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
トントンッ
そんな私の至高の瞬間に誰かが私の背中を叩いた。
しょうがなく、振り返ると、真木ヒナタが、満面の笑みで私を見つめている。
「何ですか、真木さん?」
執事との久しぶりの幸せな瞬間を邪魔されて、不愉快そうに尋ねる私。
「俺は?」
真木ヒナタは、満面の笑みのまま、私に尋ねた。
「何がですか?」
「俺と、あの男、どっちがカッコイイ?」
真木ヒナタに言われて、真木ヒナタと男性とを見比べる。
(う~ん・・・・真木さんは、女性みたいな顔立ちだからなぁ~・・・カッコイイのは・・・男性の方かな?)
ただ、それを直接伝えるとどうなるかは、わかっているので、あえてオブラートに包んで言った。
「真木さんの方が可愛いですよ。」
作り笑顔で答える私。
「じゃ、カッコイイのは?」
「・・・・だから、真木さんの方が可愛いですって。」
「・・・・・大和が言っていたんだけど、男が女に可愛いって言われるのは、ダメなんだってさ・・・・で、カッコイイのはどっち?」
引かない真木ヒナタ。