やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
第4節:人助け
銀行の前では、大勢の警察官やマスコミ、野次馬で騒然となっている。
そんな中、銀行の中では、2人の銀行強盗とお爺さんの周りを人質であるはずの銀行員、警備員、お客が円になって取り囲んでいた。
「今さら間違いでしたは、通用しませんよね?」
私は、銀行の支店長を見た。
「そうですね。さすがにこれだけ騒ぎになってしまうと、銀行の信用にも関わってしまいますし・・・。」
支店長は、ハンカチで顔の汗を拭きながら答えた。
「銀行強盗演習でしたじゃだめなのか?」
お客の1人が、支店長を見る。
「前もって警察にいっていない銀行強盗演習はありませんし、何より、入り口で拳銃を発砲されていますので、弾痕が残っていますので・・・。」
困った表情の支店長。
ただ、困った表情をしているのは、支店長だけでなく、それ以外の人も困った表情をしていた。
「何か、いい案ないかなぁ~・・・」
私は、ため息をつきながら、つぶやいた。
なぜ、こんな状態になったかと言うと、銀行強盗の2人が、なぜ、銀行強盗をしたかという理由を聞かされたためだった。