やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「そうだったよ、ミチ!このままじゃ、ナナミに会えなくなっちゃうよ!」
「そうだよ、お兄ちゃん!ナナミ、死んじゃうよ!」
「どうする、ミチよ?」
「わからないよ、お兄ちゃん!」
再び、銀行強盗の2人は、抱き合い、泣き始めた。
その様子を呆気に取られて眺めている人質達。
その人質の中でサブが、小声で私に言った。
「・・・・あいつら、もしかして、馬鹿?」
そして、その言葉は、私に小声で言ったにも関わらず、人質全員がうなずいた。
「そのナナミちゃんというのは、何か病気なんですかいのぉ~。」
お爺さんが泣いている銀行強盗2人に話しかける。
「そうなんだ。ナナミ、心臓移植しないと助からないんだ。」
「しかも、心臓移植してもらうには、1億円かかるんだよね、お兄ちゃん。」
ミチが、お兄ちゃんの銀行強盗を見た。