やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「・・・・俺達いなくなったら、ナナミも死んじゃうから、その前に俺達も向こうに行ってあげようかと思ってるんだ。」
カンジが笑顔で私を見た。
「あっ、お兄ちゃん、それナイスアイデアだね。」
ミチが、カンジの言葉を聞いて、うれしそうに声を上げた。
「馬鹿!!」
バシッ!!
私は、思いっきり、カンジの頬を右手で叩いた。
「な、何するんだよ!」
カンジは、驚いたような表情で私を見る。
「あなた達が死んで、ナナミちゃんが喜ぶと思ってるの?」
私は、カンジとミチの2人を睨みつける。
「でも、どうせ、捕まっちゃったら、ナナミに会えないんだし・・・。」
「そうだよね、お兄ちゃん。ナナミひとりじゃ可哀相だよ。」
顔を見合わせるカンジとミチ。
バシッ!!
今度は、左手でカンジの頬を叩く私。
「あなた達、大好きな身内に先立たれる哀しさは知ってるの?しかも、ナナミちゃんの病気のためにその事件が起こったってナナミちゃん本人が知ったらどう思うの?」
私は、カンジに詰め寄った。