やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
第5節:脱出
「あの~・・・真木さん、今、何してるんですか?」
私は、携帯電話で真木ヒナタに尋ねた。
「だから、暇してるんだよ~!大和は、美奈の公園デビューとか言って公園に行くし、ポチは、寝たままで、たまに叩いてもグエッとしか言わないし、屋敷に行ったら龍一に見つかるし・・・。」
真木ヒナタは、次から次に愚痴を言う。
「・・・・真木さん、また、屋敷行ったんですか?」
懲りない真木ヒナタに呆れる私。
「しょうがないだろ?誰も俺と遊んでくれないんだから!」
(真木さん・・・・今、何歳なの?)
私は、真木ヒナタの言葉に呆れた。
しかし、それを言うと真木ヒナタの機嫌を損ねてはいけないので言わないでおいた。
「ところで、真木さん、私、今、ちょっと困った状況なんですけど・・・・聞いてくれますか?」
「・・・・・・・・聞く!」
うれしそうな声で返事をする真木ヒナタ。
「実は・・・・・」
私は、真木ヒナタに今の状況とどうにかして、この銀行を抜け出せないかを相談した。
「・・・・小夜。・・・・・小夜。」
私の名前を繰り返す真木ヒナタ。
「ど、どうしたんですか?」
私は、真木ヒナタに尋ねる。
「・・・・さすが俺の小夜・・・・予想以上のイベントを用意してくれるな・・・・よし、この俺様に任せとけ!!見事、取り囲む警察官と野次馬を皆殺しにして小夜を助け出してやるよ!」
意気込む真木ヒナタ。
「・・・・冗談だと思いますけど、誰も殺しちゃダメですよ?」
私は、念のために真木ヒナタに言った。
「・・・・誰も殺しちゃいけないって冗談だろ?」
聞き返してくる真木ヒナタ。