やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「何言ってるんですか!殺しちゃダメなんですよ!」
「チッ」
携帯電話の向こうから真木ヒナタの舌打ちが聞こえてきた。
「・・・・聞いてます、真木さん?」
「聞いてるよ。・・・・小夜のためだからやってやるけど・・・成功したら、わかってるだろうな?」
渋々といった声で言う真木ヒナタ。
「・・・アイスですか?」
私は、真木ヒナタに尋ねた。
「・・・違う。」
「それじゃ、何なんですか?」
真木ヒナタの欲しい物がわからずに聞いた。
「・・・DVD欲しい。」
「何のDVDですか?」
「・・・風の谷のナウシカ。」
恥ずかしそうな声で答える真木ヒナタ。
「・・・・そんな物でいいなら、買ってあげますから、誰も怪我させないように助けてくださいね。」
呆れながら言う私。
「よし!約束したからな!それじゃ、1時間くらい待っててくれよ。」
真木ヒナタは、私にそう言って携帯電話を切った。
「真木さん、何だって?」
隣にいたサブが、携帯電話を切った私に聞いてきた。
「はい。・・・どうにか引き受けてくれましたけど・・・・不安ですよね?」
サブを見る私。
「・・・・やっぱり、小夜もそう思う?・・・真木さん、無茶な事しなきゃいいけど。」
サブも心配そうな表情になる。
「・・・ですよね・・・・。」
私も、サブと同様にかなりの不安を心に抱いていた。