やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「何すんだよ、小夜!」
私に叩かれた後頭部をさすりながら、私を睨みつける真木ヒナタ。
私は、そんな真木ヒナタは、相手にせずにカンジとミチを見た。
「サブさんとポチさんを助けてくれるんですか?」
カンジとミチに尋ねる。
「うん、助けるよね、お兄ちゃん。」
「当たり前だよ、ミチ。俺達を助けてくれたお返しだ!」
カンジとミチは、そう言うと、太った体格には、似合わない華麗な飛び込みフォームで橋のらんかんの上から川へと飛び込んでいった。
ザッブーン!!
サブが、落ちた時とは、比較にならないほどの水しぶきが上がるのが、橋の上にいる私には見えた。
カンジとミチは、華麗に泳ぎながら、一直線にサブとポチのところへと泳いでいく。
「真木さん、私達も行きますよ!」
私は、カンジとミチが脱いだ服を両手に抱えて、橋から川に沿った道へと走りだした。
「しょうがないなぁ~、ジジィは、後からゆっくり来いよ。」
真木ヒナタは、三郎お爺さんに一声掛けた後で、私の後に続いて走りだした。
走りながら、私の目には、カンジとミチが、川の中で、見事、サブとポチを助けている光景が映っていた。