やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】


「何すんだよ、小夜!」



私に叩かれた後頭部をさすりながら、私を睨みつける真木ヒナタ。



私は、そんな真木ヒナタは、相手にせずにカンジとミチを見た。



「サブさんとポチさんを助けてくれるんですか?」



カンジとミチに尋ねる。



「うん、助けるよね、お兄ちゃん。」



「当たり前だよ、ミチ。俺達を助けてくれたお返しだ!」



カンジとミチは、そう言うと、太った体格には、似合わない華麗な飛び込みフォームで橋のらんかんの上から川へと飛び込んでいった。



ザッブーン!!



サブが、落ちた時とは、比較にならないほどの水しぶきが上がるのが、橋の上にいる私には見えた。



カンジとミチは、華麗に泳ぎながら、一直線にサブとポチのところへと泳いでいく。



「真木さん、私達も行きますよ!」



私は、カンジとミチが脱いだ服を両手に抱えて、橋から川に沿った道へと走りだした。



「しょうがないなぁ~、ジジィは、後からゆっくり来いよ。」



真木ヒナタは、三郎お爺さんに一声掛けた後で、私の後に続いて走りだした。



走りながら、私の目には、カンジとミチが、川の中で、見事、サブとポチを助けている光景が映っていた。



< 194 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop