やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「・・・・私が、文句を言ったのは、サブさんのせいじゃなくて、全部、真木さんのせいですよ?」
「・・・・・・・。」
真木ヒナタは、私の言葉には、まったく耳を貸さずに、顔さえ向けようとしなかった。
「・・・・いいよ、小夜。」
真木ヒナタを怒った表情で見る私にサブが、苦笑いを浮かべて言った。
「フゥ~・・・まったく、真木さんは・・・。それで、ポチさんは、大丈夫なんですか?」
私は、倒れたままで、いっこうに起き上がろうとしないポチを見る。
パシッ、パシッ
「ポチさん、大丈夫ですか?」
サブが、隣に倒れているポチの頬を軽く叩きながら声を掛ける。
「どうですか、サブさん?」
「・・・・あれ?ポチさん、まったく反応しないんだけど?」
サブが、不安そうな表情で私を見た。
「そんなわけないだろ?ちょっと、俺にやらせてみろよ。」
真木ヒナタが、うれしそうに倒れているポチの側に行く。
ボコッ、ドカッ、ボキッ!!
「お~い、ポチ、起きろよ!朝だぞ~!」
うれしそうな表情のまま、倒れているポチを殴る真木ヒナタ。
「・・・・・ま、真木さん、そこまで本気でやらなくても・・・。」
サブが、呆れた表情で真木ヒナタに声を掛けた。