やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
バシッ!
「サブの馬鹿野郎!本気でやらないと本当に倒れているのか、それとも、嘘で倒れているのかわからないだろ!相手は、あのポチだぞ!」
なぜか、サブの頬を叩きながら、真面目な表情で言う真木ヒナタ。
「・・・・なるほど・・・そうですよね。」
そして、こちらも、なぜか納得するサブ。
「・・・・いや、真木さん、いくらポチさんでも、そこまで酷くないんじゃないですか?」
そんな真木ヒナタとサブを呆れた表情で見る私。
「ポチがそこまで酷いかどうかは置いておいて、とりあえず、本当に意識がないみたいだな。しょうがない、小夜・・・。」
「嫌ですよ。」
真木ヒナタの言葉を途中で遮りながら、断る私。
「まだ、何も言ってないだろ!」
「言わなくてもわかりますよ!前も同じ状況があったじゃないですか!」
私は真木ヒナタを睨みつける。
「あれ?そうだったっけ?」
「そうですよ!どうせ、また、私にポチさんの人工呼吸しろっていうんでしょ!」
「・・・・すげぇ~!小夜、超能力者か?何で俺の言いたい事わかったんだよ?」
驚いた表情になる真木ヒナタ。
「だから、前にも同じ状況があったじゃないですか!前にも言いましたけど、私は、絶対にポチさんに人工呼吸はしませんよ!たとえ、世界にポチさんと2人っきりになったって、絶対に人工呼吸しません。」
もの凄い勢いで断言する私。
「・・・あれ?何か、今、ポチさんの目から涙が零れたような気が?」
私と真木ヒナタの言い合いを眺めていたサブがつぶやく。
「ていうか、そいつ、助けてから川岸に上げるまで、普通に意識あったぞ。」
カンジが、倒れているポチを指差しながら言った。