やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
私も、執事の背中の横から、覗き見をした。
(・・・・工事費用・・・・100万円。)
執事のコメカミの血管がピクリと浮いたのに私は気づいた。
そうっと執事の背中から距離をとる私。
「・・・・念のために聞きますけど、これは、何の請求書ですか?」
怒りを押し殺したような執事の声。
「何って、書いてあるだろ?字も読めないのかよ、龍一。」
そんな執事の様子など、まったく気に留めない真木ヒナタ。
馬鹿にしたような口調で執事に話しかけた。
「・・・この工事費用というのは、何の工事ですか?」
どうにか、平静を保つ執事。
「何って、小夜が、芸術的な落ち方をした落とし穴に決まってるじゃん。」
胸を張る真木ヒナタ。
私は、葵とレナとのレースを思い出していた。