やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「・・・・・何で、あんな落とし穴程度に100万円かかるんですか!」
段々と語尾が強くなっていく執事。
「あんなって。龍一、あの落とし穴の芸術性がわかんないのかよ?あの誰にも、どこにあるのかわからない完璧な作り。落ちても怪我をしない衝撃吸収用マット。そしてなんと言っても、あの中に入れてあった大量の水。あれは、もし、落ちた奴が、飲んでしまっても大丈夫なように、わざわざ富士の湧き水を持ってきたんだぜ。」
「・・・・・・・」
ここまで来ると、呆れて物が言えない私と執事。
呆れた様子で真木ヒナタを見る。
「な、何だよ!文句あるのかよ!」
私と執事の冷たい視線に気づき、身構える真木ヒナタ。
「・・・・もういいです。疲れました。」
いつもとは違い、執事は、素直に請求書を受け取ると机のイスへと戻っていった。
「・・・・?あれ?いつもの殴り合いは?」
真木ヒナタが、驚いた様子で私を見た。
「・・・・まずいですよ。・・・龍一さん、本気で怒ってるんじゃないですか?」
小声で真木ヒナタに声をかける私。
「・・・・あの~・・・龍一?」
恐る恐る、執事に話しかける真木ヒナタ。