やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】


「・・・・・何で、あんな落とし穴程度に100万円かかるんですか!」



段々と語尾が強くなっていく執事。



「あんなって。龍一、あの落とし穴の芸術性がわかんないのかよ?あの誰にも、どこにあるのかわからない完璧な作り。落ちても怪我をしない衝撃吸収用マット。そしてなんと言っても、あの中に入れてあった大量の水。あれは、もし、落ちた奴が、飲んでしまっても大丈夫なように、わざわざ富士の湧き水を持ってきたんだぜ。」



「・・・・・・・」



ここまで来ると、呆れて物が言えない私と執事。



呆れた様子で真木ヒナタを見る。



「な、何だよ!文句あるのかよ!」



私と執事の冷たい視線に気づき、身構える真木ヒナタ。



「・・・・もういいです。疲れました。」



いつもとは違い、執事は、素直に請求書を受け取ると机のイスへと戻っていった。



「・・・・?あれ?いつもの殴り合いは?」



真木ヒナタが、驚いた様子で私を見た。



「・・・・まずいですよ。・・・龍一さん、本気で怒ってるんじゃないですか?」



小声で真木ヒナタに声をかける私。



「・・・・あの~・・・龍一?」



恐る恐る、執事に話しかける真木ヒナタ。

< 26 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop