やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「別にわかってくれたらいいよ。世界には、食べられない貧困の地域もあるんだから、食べられるものを食べないなんていけないことなんだぞ、小夜。」
いつもとは違いまじめな表情で語る真木ヒナタ。
「・・・はい。わかりました。」
私は、真面目な表情で真木ヒナタを見ながら、うなずいた。
「よし。それなら、いっぱい、鯉、焼いてやろう!」
真木ヒナタが、私に笑いかける。
「まだ、あるんですか?」
「ああ、そこの池に、わんさかいるぞ!しかも、手を叩いたら、側まで寄ってくるし、とり放題だな!」
笑顔の真木ヒナタ。
それとは、逆に私の表情は、青ざめる。
「ちょ、ちょ、ちょっと、待ってください、真木さん!もしかして、この鯉、庭の池の鯉ですか?」
「そうだよ。」
当然のことの様に答える真木ヒナタ。
「・・・・龍一さんが大事に育てている鯉ですか?」
「うん。龍一が大事に育てている食用の鯉。」
「食用なわけないじゃないですか!!!」
真木ヒナタに詰め寄る私。